ラストダンスはあなたと…

第1４章 混線

２

　　玲としては…親友を探すには、1人では心もとなかったので、
（やや頼りなくもあるけれど）ありがたい助っ人だった。
「おまえ、そんなに気になるのなら、警察に捜索願を
　出したらいいじゃないか」
　そう仲間に言われた時には、ついにマイペースな秀人自身も
切れてしまい
「もういいっ！
　おまえたちには、もう頼らない」
そう宣言したのだった。

（あ～あ、うまくやればいいのに、本当にみんなを
　怒らせちゃった！）
　もっとうまく立ち回れる方法があるだろうに…
玲は秀人のことを、横目で眺める。
（きっと…本当はいい人なんだろうなぁ）
あらためてそう感じるのだ。
（あれ？）
だが玲は、何か引っかかるものを感じる。
（なんで先輩は…ここまで一生懸命になるんだろう？）
　まさか珠紀のことを？
一瞬そうも思うのだが、すぐにまさか！と否定する。
なぜならば秀人には、カオリという美しい彼女がいるからだ。
　もっとも玲は、カオリ先輩のことをあまり好きではないのだが…
（先輩ってば、あんまり女の趣味は、いい方ではないかもなぁ～
　やっぱり、顏？）
などと思ってしまうのだ。
　合宿に来て、すでに1週間がたっている。
本来ならば、2泊3日で帰るはずだったのに…
　自分たち以外の人は、とうに先に帰ってしまい、ここに残る…
という選択をしたのだ。
（もっとも、これが正しいのかどうかは、わからないけどね）
もちろん宿泊費はいたいけど…
幸い玲のパパやママは、玲にはとても甘いので…
友達を探すのだ、と言ったら、すぐに口座にお金を
振り込んでくれた。
（持つべきものは…娘に甘い、パパとママよね！）
ありがたくも、そう思うのだった。