ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第7章   エマージェンシー!

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「あっ」
 もしかして何か見つかったか、と期待して、玲は振り返る。
だが4人の先輩たちが、先ほど別れた時と、さほど変わった様子もなく、
こちらに向かって、手を大きく振っている。
(なんだぁ~)
玲は思い切り、落胆の色を顔に浮かべた。

「おっ、ご苦労さん!どうだったか?」
 ガッカリする玲をよそに、秀人先輩が仲間の側に駆け寄って行く。
「いや、特に…何も見つからなかった」
頭を大きく振る賢人先輩を見て
「やっぱり、そうか」
残念そうに、彼は頭を垂れた。
それからスタスタと、先輩たちは、玲に近付いて来る。
何?と目を丸くしていると、
「ここであってる?」
確かめるように、先輩たちが玲を見つめた。

 こうして来てみると…思ったよりもずっと、遠くないことがわかる。
おそらくは…迷ったからか、と思い、
玲は「はい」と大きくうなづく。
まさかこんな感じの場所が、複数あったら、完璧にお手上げだけれど、
見た感じは…全く同じだ。
「やっぱりいないねぇ」
玲の様子をうかがいつつも、先輩がサラリと言う。
「そうですねぇ」
やっぱりか…玲は肩を落として、うなだれた。
「大丈夫だよぉ!きっと、どこかにいるよ」
あわてて秀人が付け足すけれど、あの状況では想像もついたのだ。
玲は激しく頭を振る。

「あの噴水のそばで…」
それでも玲が、必死に指差すと…
すぐに賢人が、「ここ?」辺りをライトで照らし出す。
ベンチの周り。
ベンチの下。
バラのアーチの側…
ランプの下で、くまなく探すけれども…手がかりらしきものは、
特にない…
ランプの下をくまなく探すのだけれど…
手がかりらしきものは、何1つ見つからなかった。
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