96 / 286
第7章 エマージェンシー!
1
しおりを挟む
「センパーイ!」
後先かえりみず…夢中で1人逃げ出した玲は…
後ろを振り返る余裕もなく、ただやみくもに走り続けた。
いつもはのんきな玲も…頭の中は真っ白だ。
珠紀のこととか、
あの男が何者か、とか、
その後、どうなったのか…とか、考える余裕など一切なかった。
ただチリチリと、後悔の念で胸が痛い…
(とにかく先輩たちと合流して、助けを求めるのよ)
自分の出来る最善の策はこれだ、と自分に言い聞かせていた。
振り向けない。
立ち止まれない。
何が何だか、わからない…
ただ無我夢中で走り抜けていたので、ふと我に返った時には、
いつの間にか、あの中庭の姿は、完全に見えなくなっていた。
「あっ」
足元の段差に気付かずに、思わずつんのめりそうになる。
あわてて踏みとどまると、ようやく辺りを見回した。
「ここは、どこ?」
すっかり迷ってしまった…と途方に暮れる。
あのポツリポツリと見えていた、ライトの光はどこにもなく、
どうやら横道に、それてしまったようだ。
あわてて玲は、懐中電灯で辺りを照らし出す。
目の前には、夕食前に来ていた、池へとつながる道路へと出ていた。
(あら?どうやって、ここまで来たのだろう?)
とにかく冷静になろう…と、玲は深呼吸をする。
その時初めて…自分は大切な親友を置き去りにして、とっとと逃げてしまったのだ、
と思いを巡らすのだった。
(タマキ…ごめん!)
心の中で、手を合わす。
それにしても、先輩はどこにいるのだろう?とキョロキョロとしている。
するとようやくチラチラと、反対側の方から光が揺れているのが
見えて来た…
(もしかして、センパイ?)
玲は迷うことなく、自分の懐中電灯を、大きく振り回す。
出来るだけ遠くにまで見えるようにと、手を伸ばし、円を描くように
グルグルと回してみるのだった。
後先かえりみず…夢中で1人逃げ出した玲は…
後ろを振り返る余裕もなく、ただやみくもに走り続けた。
いつもはのんきな玲も…頭の中は真っ白だ。
珠紀のこととか、
あの男が何者か、とか、
その後、どうなったのか…とか、考える余裕など一切なかった。
ただチリチリと、後悔の念で胸が痛い…
(とにかく先輩たちと合流して、助けを求めるのよ)
自分の出来る最善の策はこれだ、と自分に言い聞かせていた。
振り向けない。
立ち止まれない。
何が何だか、わからない…
ただ無我夢中で走り抜けていたので、ふと我に返った時には、
いつの間にか、あの中庭の姿は、完全に見えなくなっていた。
「あっ」
足元の段差に気付かずに、思わずつんのめりそうになる。
あわてて踏みとどまると、ようやく辺りを見回した。
「ここは、どこ?」
すっかり迷ってしまった…と途方に暮れる。
あのポツリポツリと見えていた、ライトの光はどこにもなく、
どうやら横道に、それてしまったようだ。
あわてて玲は、懐中電灯で辺りを照らし出す。
目の前には、夕食前に来ていた、池へとつながる道路へと出ていた。
(あら?どうやって、ここまで来たのだろう?)
とにかく冷静になろう…と、玲は深呼吸をする。
その時初めて…自分は大切な親友を置き去りにして、とっとと逃げてしまったのだ、
と思いを巡らすのだった。
(タマキ…ごめん!)
心の中で、手を合わす。
それにしても、先輩はどこにいるのだろう?とキョロキョロとしている。
するとようやくチラチラと、反対側の方から光が揺れているのが
見えて来た…
(もしかして、センパイ?)
玲は迷うことなく、自分の懐中電灯を、大きく振り回す。
出来るだけ遠くにまで見えるようにと、手を伸ばし、円を描くように
グルグルと回してみるのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
北野坂パレット
うにおいくら
ライト文芸
舞台は神戸・異人館の街北野町。この物語はほっこり仕様になっております。
青春の真っただ中の子供達と青春の残像の中でうごめいている大人たちの物語です。
『高校生になった記念にどうだ?』という酒豪の母・雪乃の訳のわからん理由によって、両親の離婚により生き別れになっていた父・一平に生まれて初めて会う事になったピアノ好きの高校生亮平。
気が付いたら高校生になっていた……というような何も考えずにのほほんと生きてきた亮平が、父親やその周りの大人たちに感化されて成長していく物語。
ある日父親が若い頃は『ピアニストを目指していた』という事を知った亮平は『何故その夢を父親が諦めたのか?』という理由を知ろうとする。
それは亮平にも係わる藤崎家の因縁が原因だった。 それを知った亮平は自らもピアニストを目指すことを決意するが、流石に16年間も無駄飯を食ってきた高校生だけあって考えがヌルイ。脇がアマイ。なかなか前に進めない。
幼馴染の冴子や宏美などに振り回されながら、自分の道を模索する高校生活が始まる。 ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・オーケストラそしてスコッチウィスキーや酒がやたらと出てくる小説でもある。主人公がヌルイだけあってなかなか音楽の話までたどり着けないが、8話あたりからそれなりに出てくる模様。若干ファンタージ要素もある模様だが、だからと言って異世界に転生したりすることは間違ってもないと思われる。
天国に一番近い駅〜死のうとした僕を救ってくれた人〜
紅 匠
ライト文芸
あの世とこの世の境目にある駅、
如月駅
そこには、たまに招かれざる客がやってくる。そして今回の客はいじめに苦しむ一人の高校生。
その青年と駅長が繰り広げる感動ストーリーです。
完結と言っても後日談とか入るかもね
【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件
中島健一
ライト文芸
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。
織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。
彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。
ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。
学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。
これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。
カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。
平成の御用聞き
萩原伸一
ライト文芸
正彦は追っていた事件の捜査の打ち切りに納得できず、一人捜査を続けていた。しかし、課長に注意されてしまい、25歳にして刑事に抜擢された正彦だったが、これ以上は人のいい課長に迷惑がかかると考え、ついに刑事をやめてしまった。正彦はこのままその事件を追うというが...
婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました
花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。
クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。
そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。
いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。
数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。
✴︎感想誠にありがとうございます❗️
✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦
✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵
超エンジェル戦士シャイニングカクウ
レールフルース
ライト文芸
何もかもがダメで、グータラだけどちょっとした正義感があるごく普通の中学生の佐東誠心(さとうまさむね)がある日メモリーパワーを受けてシャイニングカクウになってしまった!
シャイニングカクウに変身できるようになった誠心は大喜び。だけど周りの人には見えないから自慢ができない。
人間に密かに憑依して悪事を働くジェラサイドと言う悪の組織に立ち向かいながらも青春や恋愛に友情などを味わうヒーロー物語!
果たして佐東誠心はこの世界を守れるか!?
令嬢は辺境伯領で、手放せないほど愛おしい世界を見つけた
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が突然事故で他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して、領のことなど右も左もわからない。そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の4人のこどもたち(14歳男子、13歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、貴族のマナーなど全く知らないこどもたちに貴族のマナーを教えたり、女心を教えたり(?)とにかく、毎日が想像以上に大変!!
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※設定はゆるめです(たぬきち25番比)
※胸キュンをお届けできたらと思います。
※タイトル変更しました(旧題:人を好きになるのがこんなにつらいって……誰か教えてよ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる