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第6章 禁断の花園
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中庭?
そんなのが、あるの?
でも…こんなに暗くては、見えないのでは?
珠紀は急に不安になる。
「大丈夫だよ。懐中電灯、持ってきたから」
ほぃっと先輩たちは、手に持つライトを軽く持ち上げて見せる。
(なんだ、用意がいいんだなぁ)
そう思うとふと…もしかして最初から、行くつもりだったのかしら…
と思いが及んだ。
「よし、行こうか」
珠紀たちを見て、秀人先輩は立ち上がる。
「行くのか?」
一応賢人先輩が聞くと…
「もう来ないだろ?」
ショータ先輩もうなづいた。
秀人先輩は、口にくわえたタバコの火を消すと、かすかにお酒のにおいがした。
(もしかして、みんなで飲んでたの?)
チラリと思う珠紀だ。
一体どこへ行くのだろう?
一気に緊張してくる。
「先輩、中庭って、どこにあるんですか?」
相変わらずマイペースな調子で、玲は聞く。
(それにしても、来る時に見たっけ?)
珠紀も耳をそばだてる。
「案内を見たらさぁ~正面を出て、脇にそれると…
中庭につながる、道があるみたいだよ」
すでにリサーチ済みのようだ。
「そうなの?」思わず珠紀も声を上げる。
おっ?
先輩たちは一斉に、珠紀に視線を向ける。
えっ、なに?
その反応にたじろいで、珠紀はドキリと顔を赤らめる。
「あのぉ、池に繋がる道があるんじゃ…」
ためらいつつもそう言うと…
「だろ?そう思うだろ?」
我が意を得たり…という顔をして、ヘラリと先輩が笑う。
(どういう笑い?)
「それがねぇ~建物沿いを歩いて行くと、あるんだよなぁ」
嬉しそうにニコニコしながら言う。
「そうなんだ?」
他の先輩も、思わず秀人先輩に聞き返す。
(なんだ、みんな、知ってるわけじゃあないんだ)
珠紀は少し安心した。
「そうなんだよぉ。調べるの、中々苦労したんだぜ」
先輩は自慢気にニヤリと笑うと、珠紀をじっと見つめた。
そんなのが、あるの?
でも…こんなに暗くては、見えないのでは?
珠紀は急に不安になる。
「大丈夫だよ。懐中電灯、持ってきたから」
ほぃっと先輩たちは、手に持つライトを軽く持ち上げて見せる。
(なんだ、用意がいいんだなぁ)
そう思うとふと…もしかして最初から、行くつもりだったのかしら…
と思いが及んだ。
「よし、行こうか」
珠紀たちを見て、秀人先輩は立ち上がる。
「行くのか?」
一応賢人先輩が聞くと…
「もう来ないだろ?」
ショータ先輩もうなづいた。
秀人先輩は、口にくわえたタバコの火を消すと、かすかにお酒のにおいがした。
(もしかして、みんなで飲んでたの?)
チラリと思う珠紀だ。
一体どこへ行くのだろう?
一気に緊張してくる。
「先輩、中庭って、どこにあるんですか?」
相変わらずマイペースな調子で、玲は聞く。
(それにしても、来る時に見たっけ?)
珠紀も耳をそばだてる。
「案内を見たらさぁ~正面を出て、脇にそれると…
中庭につながる、道があるみたいだよ」
すでにリサーチ済みのようだ。
「そうなの?」思わず珠紀も声を上げる。
おっ?
先輩たちは一斉に、珠紀に視線を向ける。
えっ、なに?
その反応にたじろいで、珠紀はドキリと顔を赤らめる。
「あのぉ、池に繋がる道があるんじゃ…」
ためらいつつもそう言うと…
「だろ?そう思うだろ?」
我が意を得たり…という顔をして、ヘラリと先輩が笑う。
(どういう笑い?)
「それがねぇ~建物沿いを歩いて行くと、あるんだよなぁ」
嬉しそうにニコニコしながら言う。
「そうなんだ?」
他の先輩も、思わず秀人先輩に聞き返す。
(なんだ、みんな、知ってるわけじゃあないんだ)
珠紀は少し安心した。
「そうなんだよぉ。調べるの、中々苦労したんだぜ」
先輩は自慢気にニヤリと笑うと、珠紀をじっと見つめた。
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