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第5章 謎の肖像画
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そうなのかぁ~と思いながらも、珠紀は階段のありかを探る。
(これなら、エレベーターに乗った方が、よかったかも?)
つい意地を張ったことを、今さら後悔する。
それでもたんねんに探していると、突然陰から、人が飛び出して来た。
「うわっ!」
すんでのところで、ぶつかりそうになり、珠紀はひどく驚く。
少し出っ張った柱の向こうから、いきなり青い上着を着た、年配の女性が、
降ってわいたように現れたのだ。
一瞬、陰に隠れていたのか、と思ったけれども。
女の人の出て来た方向を見ると、いつの間にか、ポッカリと穴が
空いているように、暗やみが見えた。
「あっ」
思わず珠紀が声を上げると、
「なにか?」
先ほどの女性が、くるりと珠紀を振り返る。
突然人が現れたので、まだ珠紀は、ドキドキと破裂しそうなくらい、心臓の鼓動が
聞える。
息が止まるかと思った!
軽く胸を押さえる。
何しろひと気のない場所だから、本当に他に人がいるのかしら、というくらい
周りが静まり返っていた。
だから油断していたのだ。
すると女性は、あわてて端によけると、
「どうもすみません!」
いきなりペコリと頭を下げた。
ブルーの上っ張りを着て、腰にはエプロンをしている。
もしかしてこの人は…清掃の人なのか、とふと気づいた。
ホテルでは、あまり見かけることはなく、チエックインとチェックアウトの時に、
現れるのだろうけれど…
なんでこんな時間にいるのだろう?
ずいぶん珍しいなぁと、珠紀は思う。
「何か、お探しですか?」
いきなりその女性が、珠紀と玲を見比べていた。
(これなら、エレベーターに乗った方が、よかったかも?)
つい意地を張ったことを、今さら後悔する。
それでもたんねんに探していると、突然陰から、人が飛び出して来た。
「うわっ!」
すんでのところで、ぶつかりそうになり、珠紀はひどく驚く。
少し出っ張った柱の向こうから、いきなり青い上着を着た、年配の女性が、
降ってわいたように現れたのだ。
一瞬、陰に隠れていたのか、と思ったけれども。
女の人の出て来た方向を見ると、いつの間にか、ポッカリと穴が
空いているように、暗やみが見えた。
「あっ」
思わず珠紀が声を上げると、
「なにか?」
先ほどの女性が、くるりと珠紀を振り返る。
突然人が現れたので、まだ珠紀は、ドキドキと破裂しそうなくらい、心臓の鼓動が
聞える。
息が止まるかと思った!
軽く胸を押さえる。
何しろひと気のない場所だから、本当に他に人がいるのかしら、というくらい
周りが静まり返っていた。
だから油断していたのだ。
すると女性は、あわてて端によけると、
「どうもすみません!」
いきなりペコリと頭を下げた。
ブルーの上っ張りを着て、腰にはエプロンをしている。
もしかしてこの人は…清掃の人なのか、とふと気づいた。
ホテルでは、あまり見かけることはなく、チエックインとチェックアウトの時に、
現れるのだろうけれど…
なんでこんな時間にいるのだろう?
ずいぶん珍しいなぁと、珠紀は思う。
「何か、お探しですか?」
いきなりその女性が、珠紀と玲を見比べていた。
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