ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第5章  謎の肖像画

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  救いを求めるように、コトミの方をうかがうと、やはり彼女も
何かを感じるらしく…奇妙な顔をして、こちらを見ている。
(何とかして…彼女と話がしたい)
そう思うけれども、中々その機会が訪れない。
 だけど先輩が、
「このホテルの周りを、散歩してみないか?」と誘ってきた時、
もしかして、この違和感の正体が、明らかになるのでは?
そう珠紀が期待したのだった。
コトミの方を見ると、同じように、固い表情をして、何かを決意したような顔で、
黙ってうなづいて、こちらを見ている…

「あのぉ、お風呂に入ってからではダメ?」
おそるおそる珠紀が聞いてみると、キョトンとした顔で、
秀人先輩が珠紀を捕らえた。
「あ、そうかぁ~
 そうだなぁ~大浴場って、何時までだろ?」
先輩はようやく、女性陣がまだ旅の汗を流してはいない、ということに
気づいたようだ。
「わかった、フロントに聞いてみる?」と言うと、ためらうことなく、
あのエレベーターに乗ろうとした。

「あ、いや…階段で行きます」
たかが1階。
わざわざエレベーターに乗ることはない。
思わず珠紀はそう言った。
だがすぐに…
階段って、大丈夫?
ふと気になった。
このホテルは、普通のホテルとは、だいぶ違う…
そのことをすっかり忘れていたことに、今さら気付いたのだった。

「なに、珠紀…
 もしかして、ダイエット?」
のん気な顔で、からかうように玲が笑う。
「あ、そうそう」
彼女に合わせるように笑うと、玲も思い直したかのように
「ふぅーん、ま、1階だけだし、腹ごなしに歩くのも、いいかも」
珍しく珠紀の提案にのった。
するとさっさとエレベーターに背を向けると、階段はどこだろう…と
探し始める。
エレベーターホールには、階段の形跡は見つからない。
キョロキョロと辺りを見回した。

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