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第5章 謎の肖像画
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これが普通のホテルならば…エレベーターの中とか、エレベーターの側に、
館内の案内図とか、見取り図がありそうなものなのだけれど…
「そんなの、見かけなかったよ」
お客さんには、優しいホテルではないのか、美観を損ねる無粋なものは、
置かない主義なのか、極力そういうものは、貼ったり掲示したりは
しないようだ。
「ねぇ、さっきの人は?」
ふいに思い出したように、アヤカが口をはさむ。
「さっきの人って?」
「ほら…コップとか、お皿とか運んでくれた、ホテルの人!」
「あ、あぁ~」
そういえば…と思い出す。
でもこの人は、突然ふぃっと姿を現すけれど、いつの間にかいなくなる。
さらにはどこにいるのか全く、気配を感じさせないのだ。
「まるでさ、女くのいちみたいだよね?」
いつの間に、話を聞いていたのか…カオリ先輩が楽しそうに振り返るので、
案外みんな、気になっていたのか、とそう思う。
何者、その人…と思いつつも、
そういえば、そうだ。
確かに忍者のようだった…と、失礼だけれどそう思うと、思わずクスクスと
笑いがこみ上げてきた。
ある意味それは、すごいことだけど…
このホテル、やっぱり変わっているなぁと、誰もがそう思うのだった。
「あっ」
また、と珠紀は後ろを振り返る。
時折、誰かに見張られているような…視線を感じるのだ。
気のせいか?
もしかして、自分って、自意識過剰なのか、と気になって、黙って辺りを
見回すけれど、やはりそこには該当の人物はいないのだ。
目に映るのは…自分を映し出す鏡であったり、
あの不気味な絵だったりした。
「なに、どうした?」
玲が声をかけるけれど…何も気づいていない様子。
どうして気付かないの?
まさか自分だけ?
それが逆に怖くて、珠紀には奇妙に思えるのだ。
館内の案内図とか、見取り図がありそうなものなのだけれど…
「そんなの、見かけなかったよ」
お客さんには、優しいホテルではないのか、美観を損ねる無粋なものは、
置かない主義なのか、極力そういうものは、貼ったり掲示したりは
しないようだ。
「ねぇ、さっきの人は?」
ふいに思い出したように、アヤカが口をはさむ。
「さっきの人って?」
「ほら…コップとか、お皿とか運んでくれた、ホテルの人!」
「あ、あぁ~」
そういえば…と思い出す。
でもこの人は、突然ふぃっと姿を現すけれど、いつの間にかいなくなる。
さらにはどこにいるのか全く、気配を感じさせないのだ。
「まるでさ、女くのいちみたいだよね?」
いつの間に、話を聞いていたのか…カオリ先輩が楽しそうに振り返るので、
案外みんな、気になっていたのか、とそう思う。
何者、その人…と思いつつも、
そういえば、そうだ。
確かに忍者のようだった…と、失礼だけれどそう思うと、思わずクスクスと
笑いがこみ上げてきた。
ある意味それは、すごいことだけど…
このホテル、やっぱり変わっているなぁと、誰もがそう思うのだった。
「あっ」
また、と珠紀は後ろを振り返る。
時折、誰かに見張られているような…視線を感じるのだ。
気のせいか?
もしかして、自分って、自意識過剰なのか、と気になって、黙って辺りを
見回すけれど、やはりそこには該当の人物はいないのだ。
目に映るのは…自分を映し出す鏡であったり、
あの不気味な絵だったりした。
「なに、どうした?」
玲が声をかけるけれど…何も気づいていない様子。
どうして気付かないの?
まさか自分だけ?
それが逆に怖くて、珠紀には奇妙に思えるのだ。
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