66 / 286
第5章 謎の肖像画
10
しおりを挟む
まるでVIPみたい!
珠紀たちは、この特別待遇に、舞い上がる。
このキラキラとした、贅沢な食卓が、自分たちのためだけに、用意されて
いるのだ…と思うだけで、ひどく自己顕示欲を刺激される。
「なんだか、セレブになった気分!」
ウットリとした顔で、カオリ先輩が言う。
だけども珠紀だけは…どこかおかしい…と、何か違和感を感じていた。
ほんの少しの違和感なのだけれど、その正体がなんなのか、よくわからない。
天井には大きなシャンデリアがあるけれど、なぜか使わず、
テーブルには、燭台があちこちに並べられ、オレンジの光を投げかけている。
それがさらに、部屋をボンヤリと照らし出し、まるで異世界にいるように
錯覚させる。
「どこにすわる?」
早速玲が、ウキウキした調子で、珠紀にささやく。
「あ、好きな所に、座っていいよ」
すかさず先輩が、2人に声をかけた。
各テーブルには、それぞれきちんと、皿とフォークとナイフが、
セッティングされている。
飲み物だけは、自分で運んで来るようになっているようだ。
「なに、飲む?」
「私、お茶がいいな!」
早速珠紀が、入り口の近くのテーブルに近付くと、
「乾杯しないの?」
その後ろ姿めがけて、玲が聞いてきた。
「うーん、でもねぇ、私、一応まだ未成年だし」
生真面目に、珠紀が答えると…
「真面目ねぇ」
同い年である玲が、そんな友人のことを、あきれたようにクスクスと笑う。
それでもドリンクを見ていると…いきなりすっと、人の影が
すり抜けて
「お配りします」
グラスを手に取る、珠紀の手を、軽く抑えた。
「あら、そう?」
なんだ、セルフサービスじゃあないんだ、と珠紀は思い、
すんなりとグラスを手放す。
それにしても、この人…
さっきまでいたっけ?
ちょっと不気味に思えた…
珠紀たちは、この特別待遇に、舞い上がる。
このキラキラとした、贅沢な食卓が、自分たちのためだけに、用意されて
いるのだ…と思うだけで、ひどく自己顕示欲を刺激される。
「なんだか、セレブになった気分!」
ウットリとした顔で、カオリ先輩が言う。
だけども珠紀だけは…どこかおかしい…と、何か違和感を感じていた。
ほんの少しの違和感なのだけれど、その正体がなんなのか、よくわからない。
天井には大きなシャンデリアがあるけれど、なぜか使わず、
テーブルには、燭台があちこちに並べられ、オレンジの光を投げかけている。
それがさらに、部屋をボンヤリと照らし出し、まるで異世界にいるように
錯覚させる。
「どこにすわる?」
早速玲が、ウキウキした調子で、珠紀にささやく。
「あ、好きな所に、座っていいよ」
すかさず先輩が、2人に声をかけた。
各テーブルには、それぞれきちんと、皿とフォークとナイフが、
セッティングされている。
飲み物だけは、自分で運んで来るようになっているようだ。
「なに、飲む?」
「私、お茶がいいな!」
早速珠紀が、入り口の近くのテーブルに近付くと、
「乾杯しないの?」
その後ろ姿めがけて、玲が聞いてきた。
「うーん、でもねぇ、私、一応まだ未成年だし」
生真面目に、珠紀が答えると…
「真面目ねぇ」
同い年である玲が、そんな友人のことを、あきれたようにクスクスと笑う。
それでもドリンクを見ていると…いきなりすっと、人の影が
すり抜けて
「お配りします」
グラスを手に取る、珠紀の手を、軽く抑えた。
「あら、そう?」
なんだ、セルフサービスじゃあないんだ、と珠紀は思い、
すんなりとグラスを手放す。
それにしても、この人…
さっきまでいたっけ?
ちょっと不気味に思えた…
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
Trigger
猫蕎麦
ライト文芸
表題作Triggerを先頭に、ちょっとした短編を書いていきます。
(※英語版は素人のもので大量に間違いがあると思われますがご了承ください。それと、日本語版と英語版では少し表現が変わってます。しかし基本は英語を訳しているので、日本語だと不自然な表現が多いです。ご了承ください。)
ーTriggerー
ちょっとヤバい能力を持つ少年のある朝のお話。
英語版と日本語版あります。
ーPlan Aー
病室で目覚めた主人公ジェレットは一切の記憶を失っていた……!
英語版(途中まで)と日本語版あります。
─Contrail─
いつもの朝。スクールバスが崖から転落し、ニーナだけが生き残った。だが落ちた先は、血塗られた家だった。
伏線もあるので、じっくり読んでみるとより面白いかもです!感想やアドバイスください。
ダッシュの果て、君と歩める世界は
粟生深泥
ライト文芸
町に伝わる“呪い”により祖父と父を亡くした宮入翔太は、高校二年生の春、「タイムマシンは信じるか」と問いかけてきた転入生の神崎香子と知り合う。その日の放課後、翔太の祖母から町に伝わる呪いのことを聞いた香子は、父と祖父の為に呪いの原因を探る翔太に協力することを約束する。週末、翔太の幼なじみの時乃を交えた三人は、雨の日に登ると呪いにかかるという深安山に向かい、翔太と時乃の話を聞きながら山頂で香子は試料を採取する。
それから一週間後、部活に入りたいと言い出した香子とともにオーパーツ研究会を訪れた翔太は、タイムトラベルについて調べている筑後と出会う。タイムトラベルに懐疑的な翔太だったが、筑後と意気投合した香子に巻き込まれるようにオーパーツ研究会に入部する。ゴールデンウィークに入ると、オーパーツ研究会の三人はタイムトラベルの逸話の残る坂巻山にフィールドワークに向かう。翔太にタイムトラベルの証拠を見せるために奥へと進もうとする筑後だったが、鉄砲水が迫っていると香子から告げられたことから引き返す。その後、香子の言葉通り鉄砲水が山中を襲う。何故分かったか問われた香子は「未来のお告げ」と笑った。
六月、時乃が一人で深安山に試料を採りに向かう途中で雨が降り始める。呪いを危惧した翔太が向かうと、時乃は既に呪いが発症していた。その直後にやってきた香子により時乃の呪いの症状は治まった。しかしその二週間後、香子に呪いが発症する。病院に運ばれた香子は、翔太に対し自分が未来の翔太から頼まれて時乃を助けに来たことを告げる。呪いは深安山に伝わる風土病であり、元の世界では呪いにより昏睡状態に陥った時乃を救うため、翔太と香子はタイムトラベルの手法を研究していた。時乃を救った代償のように呪いを発症した香子を救う手立てはなく、翌朝、昏睡状態になった香子を救うため、翔太は呪いとタイムトラベルの研究を進めることを誓う。
香子が昏睡状態に陥ってから二十年後、時乃や筑後とともに研究を進めてきた翔太は、時乃が深安山に試料を採りに行った日から未来を変えるためにタイムトラベルに挑む。タイムトラベルに成功した翔太だったが、到達したのは香子が倒れた日の夜だった。タイムリミットが迫る中、翔太は学校に向かい、筑後に協力してもらいながら特効薬を作り出す。間一髪、特効薬を香子に投与し、翌朝、香子は目を覚ます。お互いの為に自分の世界を越えてきた二人は、なんてことの無い明日を約束する。
わたしの婚約者は学園の王子さま!
久里
児童書・童話
平凡な女子中学生、野崎莉子にはみんなに隠している秘密がある。実は、学園中の女子が憧れる王子、漣奏多の婚約者なのだ!こんなことを奏多の親衛隊に知られたら、平和な学校生活は望めない!周りを気にしてこの関係をひた隠しにする莉子VSそんな彼女の態度に不満そうな奏多によるドキドキ学園ラブコメ。
家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!
雪那 由多
ライト文芸
恋人に振られて独立を決心!
尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!
庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。
さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!
そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!
古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。
見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!
見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート!
****************************************************************
第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました!
沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました!
****************************************************************
我っ娘はネコである!! ~ダンジョンコアの力で老猫(14歳)が少女(14歳)に生まれ変わったら~
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「我はネコである!名前はナイ!」
突然現れ、そう宣言したのは黒髪金目の全裸の少女だった。
14歳の老猫のナイは、主人の賢者ブリアックの死を切っ掛けに自由な野良猫になった。
ちょっとした好奇心からナイは引率付きの初心者冒険者のパーティーの後を追いかけ、ダンジョンへと入ってしまう。
そこでナイと冒険者パーティーは『彷徨える落とし穴』と呼ばれる強制転移ポイントに落とされ、ダンジョン最下層に送り込まれてしまうのだった。
危機的状況に陥る冒険者パーティー。
そこに現れたのは、ダンジョンコアの力で14歳の少女となった元猫のナイだった!
※ ※ ※
猫の14歳は老猫ですが、人間の14歳は少女だよなという発想からの作品です。
14歳の少女ナイは、老猫だったため上から目線で猫らしく自分勝手な性格をしています。
そして、それに振り回されるのが、お人好しで有名な29歳の中堅冒険者のアルベルトです。
ハッキリ言って、タイトル出オチの作品です。
最初は某有名小説そのままのタイトルにして、ナイの一人称を『吾輩』にしようとしてましたが、さすがにそれはマズそうなので現在のタイトルになって、一人称も『我』の我っ娘に。
一応、10万字くらいを区切りにして書き進めていますので、よろしくお付き合いください。
助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる?
「年下上司なんてありえない!」
「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」
思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった!
人材業界へと転職した高井綾香。
そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。
綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。
ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……?
「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」
「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」
「はあ!?誘惑!?」
「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」
トイレの聖女様! ~我々が必要としているのは聖女であって便所ではない! と追放された召喚聖女、砂漠の獣と奇跡を起こす!~
神通力
ファンタジー
「会社にも行きたくないが、ウォシュレットもエアコンもシャワーもない異世界になんかもっと行きたくない!」と駄々を捏ねた結果、『エアコン完備のユニットバス使い放題』なるチートを押し付けられ「滅びかけの国を救え」と異世界に放り込まれたアラサー召喚聖女、御手洗清美(みたらいきよみ)は些細な誤解から褐色イケメン王子軍団と盛大に喧嘩別れしてしまい、成り行きで砂漠に住まう虎獣人の部族に厄介になる事に。彼女を命の恩人と慕う武人、彼女に利用価値を見出す族長、彼女の存在が面白くない族長の息子など、虎・虎・虎! な美女と野獣の織り成す異世界聖女ライフをお楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる