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第4章  湖のほとりで

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「ね、怖いの?」
 かすかに青ざめる、彼女に気が付くと、珠紀は声をかけた。
黙って頭を振るコトミに、チラリと視線を移すと、傍らにいたアヤカが
「あ、この子…こわがりなの!
 なんでもね、霊感があるんだって!」
まるで信じていないような…からかう調子でそう言う。
友達だろうに、そんな言い方?と、珠紀が眉をひそめていると、
コトミはその場にしゃがみ込んだ。
「大丈夫?」
調子が悪いのだろうか、と顔をのぞき込む。
「いいの、いいの、この人は…なんでも臆病なんだから」
こともなげにアヤカはそう言い捨てた。
 どうやらコトミは、アヤカに頭が上がらないようだ。
彼女は何も言わないけれども、何かを恐れているようだ…
(まさか本当に、幽霊か何か、いるの?)
さすがにそれを見ると、珠紀の顔も、一瞬こわばってくる。

「さぁ、お嬢さん方!お供しましょう」
 わざと陽気に、秀人先輩が楽しそうに腰をかがめると、
1同をうながして、ロビーから外へと連れ出した。
 なんとなく…ソファーの向こうから、視線を感じる…
一体 誰なのかしら?
珠紀は、一瞬立ち止まる。
明らかに、何者かの気配を感じるのに、誰も何も言わない。
知らず知らずのうちに、隣にいる玲の腕につかまった。
「なに?珠紀、痛いよ!」
 気付かぬうちに、力が入っていたのだろう。
いつの間にか、その手に爪をたてていたらしい。
 あわてて珠紀は、手を引っ込めた。

 ゴージャスなロビーを出ると、再び玄関をくぐり抜ける。
こちらは今時珍しく、自動ドアではなく、回転扉だ。
先ほどは、何も思わなかったけれども…
「なに、これ?
 出るタイミングが…わからないわ」
カオリ先輩が、はしゃいだ声を上げて、秀人先輩の腕にしがみつく。
1人ずつゆっくりと、ガラスの扉を体で押すようにして、グルリと
勢いをつけて、外へとタイミングを見計らった。
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