御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…３８

「覚えているかなぁ？」
　そうつぶやくと、清子は真顔になる。
「さぁねぇ」
　どうだろう？
「来る時には、来るでしょ」
清子らしくない、弱気な発言だ。
もしかしたら、自分はまずいことを聞いたのか…と、宗太郎は急に
気になる。
「来てくれたらいいなぁ」
ポツンと言う清子が、急に可哀想になり、らしくないことを付け加える。

「ねぇ、ソータロー。
　ここの噂、知ってる？」
　いきなり清子が、グッと顔を近づけて、話しかけてくる。
「なんだよ、噂って」
「知りたい？」
清子は意味あり気に、ニヤリと笑う。
「どうせ、子供の肝だめし程度の話だろ？」
　ここがお化け屋敷だ…というのは、すでに織り込み済みだ。
どっちみち、その手の話だろう…と話半分で聞いていると…
清子はコホンと咳ばらいをして、
「私たちが、ここに来るきっかけは、一人の男の子だったの」
静かに話し始める。
「おいおい、何を話すつもりだ？」
茶化すように、声をかける。
「いいから、聞いて」
清子は真面目な顏になる。
「その男の子は、この町の子ではなくて、夏休みに親に連れられて、
　遊びに来た男の子だったの」
　あれ？
どこかで聞いたような話だなぁ～
宗太郎は、ボンヤリとしていた。