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ソータローのこと…28

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「ふーん」
 だがその辺りには、さして興味がないのか、清子の反応が薄い。
「困ったりしない?」
「別に」
「私の顔…わかる?」
「清子だろ」
「でも…友だちの顔とか、覚えてないの?」
そう聞かれても、そもそも友達がいたのかどうかも、定かではないのだ。
「いや…その頃はたぶん、友だちなんていないと思うから…」
寂しいとか、寂しくないのか、などと、そもそも何も感じないのだ。
(それにしても、ずいぶんグイグイ聞いてくるなぁ)
清子の好奇心には、あっぱれとしか思わないけれども。
おそらくは、みんなの反応も、こんな感じなのかもしれないな、と思う。
(むしろ、陰であれこれと想像されるよりは、いいかもな)
そんなことを、ボンヤリと考えていた。
(だけど、なんで、こんなにからんでくるのだ?)
それを聞いたところで、何の得にもならないと思うのだけれど。
(清子って、やっぱり、相当変わっているんだなぁ)
それが宗太郎の、正直な感想だ。

 しばらく、ボーッとしていたのだろう。
何気なく横を向くと、清子がこちらを見ていることに気が付く。
「えっ、どうした?」
何となく、心の中をのぞき込まれているようで、どうも決まりが悪い。
「ソータローって、いつもこんななの?」
さらにしげしげと、清子がのぞき込んでくる。
「こんなって、なんだよ」
居心地が悪くなって、思わずソッポを向く。
「だから、いつもこんな風に、ボーッとしているの?」
ニヤリと笑う。
「ボーッとして、悪かったな」
急に恥ずかしくなり、ブスリと答える。
「ううん、別に…」
ニヤニヤしながら、清子はトトト…と、石の段を跳ねる。
「私とおんなじだなぁ~と思って」
トントンと跳ねると、クルリと振り返った。
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