御手洗さんの言うことには…

daisysacky

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ソータローのこと…26

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「診察券も?写真も?日記も?」
 一つ一つ清子が口に出すたびに、宗太郎は無言でうなづく。
「ソータローのお母さん…何を考えているの?」
半ば怒ったように、清子は宗太郎に向かって言う。
「さぁ、そんなこと、知らないよ。
 本人に聞いてみないと」
案外クールに、宗太郎はサラリと言う。
何でそこまで、清子が真剣になるのか…と、宗太郎は思わずクスクスと笑う。
「ちょっと、笑い事じゃあないでしょ!」
ピシリと、清子が言い放つ。
「ごめん」
「自分のことでしょ?」
 なんで清子が、そんなに怒るのか…
やっぱり宗太郎には、よくわからない。
「だって、ソータローが可哀想すぎるでしょ」
多少は自分もかかわっているせいなのか、清子は宗太郎のことが、歯がゆくて
仕方がない。
「もっと怒ればいいのに。
 何で、ヘラヘラしているのよ」
トントンと、清子は宗太郎の腕を叩く。
「え~っ」
クルクル変わる清子の表情に、宗太郎はただただ圧倒されている。

「なんだよぉ、キヨコ~
 リョウ君のことが、好きなんじゃないのかよぉ」
何とかこの重苦しい空気を換えようとして、宗太郎はヘラヘラしながら、
清子に向かって言う。
「ちょっと!真面目な話をしているのよ。
 ふざけないでよ!」
ピリピリとした空気で、宗太郎をにらみつける。
「あっ、ごめん…」
宗太郎はあわてて、首を引っ込める。
「そんなに、一生懸命にならなくてもいいのに」
思わず、小声でつぶやくと、
「そんなの、わかっているわよ!」
さらに清子は、イライラとした顔で、宗太郎の背中を叩いた。
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