御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…２５

「病院？」
　いきなり清子に、そう聞かれ、宗太郎はポカンとする。
「そうよ、病院よ！
　だって、入院していたんでしょ？」
清子の瞳はまっすぐで、他に一転の曇りも見受けられない。
ふいに宗太郎は、なぜだかおかしくなって、はははと笑う。
「何よ、人が真面目な話をしているというのに！」
急に緊張の糸が、プツンと切れたのか、ブスッとした顔になる。
「だって、清子があんまり、真剣な顔をするから」
ワルイ、ワルイと言いながらも、どうしてだか宗太郎は、ニヤけてしまう。
「清子って、本当に、真面目なんだなぁ。
　そんなこと、考えたこともなかったよ」
まだニヤニヤした顔をすると、
「ちゃんと考えてよ」
フン！とソッポを向いて、清子はプリプリしている。

　清子自身にも、わからないのだ。
何でそんなに、気になるのか…
しいていうのなら、女の勘とでもいうものだろう。
ひそかにそう、思っていた。

「そうだなぁ～あの頃のものは、何にも残っていないからなぁ」
　ボソリと、何気なく宗太郎が言う。
「えっ、何も？」
再び清子が食いつく。
「そうだけど、何か？」
清子の大きな目が迫ると、
「う、うん、何も…」
やや引き気味に、宗太郎はうなづく。
「え～っ、それって、思いっ切り怪しいじゃない」
清子は、大きな声を上げた。