御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…23

「どこまでって…」
　宗太郎は、頭をひねる。
「何しろ、気が付いたら母さんと二人で、別の所に住んでいたし…」
それ以上でも、それ以下でもない。
「あっ、そうかぁ」
　そんなことを言っていた、と静かに清子は思い出す。
「じゃあ、今はどこに？」
「それが、じいちゃんのことが心配だからって…
　去年こっちに、戻って来たんだ」
宗太郎は素直に、清子の質問に応じる。
「じゃ、あの家に？」
あの家って、どの家のことだ、と思うけれども。
「じいちゃんの家だよ」
短く答える。
　あぁ、そうか、じいちゃんの家は、清子の家の近くか…
ようやく、宗太郎は思い出す。
「へぇ～」
「清子こそ、今まで、どうしていたんだよ」

　ようやく、まともに清子と話をしているような気がする。
いつもいきなり、清子が現れたから、ろくすっぽ会話らしい会話を、
していないのに気が付く。
「うーん、私も似たようなものかな？
　私も最近、ここに越して来たの」
「そうなんだぁ」

　こんな偶然って、あるもんだなぁ～
宗太郎は、しみじみとそう思う。
宗太郎も、清子も、そしておそらく神林君も…
みんな、ここ数年、ここに戻って来たことになる。
これって、どういう意味があるのだろう？
ただの偶然？
偶然と済ますには、あまりにも…色々、謎があるように思える。

「で、どうしていたの？」
　やっと、清子は話を戻そうとする。
「どうしたって、別に…」
聞かれても、実のところ、あまり話すことがないのだ。