御手洗さんの言うことには…

３７

ソータローのこと…16

「お前も、ホント、すみにおけないなぁ～」
　ヘラヘラしながら、高柳君が二人に近付いてくる。
「虫も殺せないような、大人しい顔をしているヤツが…
　こんな可愛い、彼女がいるなんてな！」
どうやら二人の様子を、隠れて見ていたようだ。
高柳君の後ろから、ズラリと取り巻きたちが、取り囲んでいる。
「何よぉ～後をつけて来たの？」
すぐに清子が、高柳君に向かって、大きな声で吠える。
「おやおやぁ～見た目に似合わず、気の強いお嬢さんだなぁ～」
　こりゃあ、尻に敷かれるぞぉ～
高柳君がひと言言うと、取り巻きたちがゲラゲラと笑う。
「古屋敷君の手には、負えないかもねぇ」
「何だったら、ボクたちと付き合う？」
誰かがひと声上げると、
「そりゃあ、いいやぁ」
ドッと大きな声で笑う。

「何よ、失礼ねぇ」
　清子は一気に、臨戦態勢に入る。
「ソータロー、こんなヤツ、相手にすることないわ！」
グッと宗太郎の腕をつかむと、彼らから離れようとする。
ヒューヒュー
彼らはわざと、黄色い声援を上げると、
「よっ、お二人さん！結婚式はいつ？」
さらに、大きな声を張り上げる。
だが、清子はそんなことでひるむような、ヤワではない。
　キッと、高柳君たちをにらみつけると、
「私たちは、生まれた時から、婚約しているの！
　言われなくても、そのうち結婚しますから！」
堂々とそう言い放つ。
（うわぁ～火に油を注ぐようなもんだ）
まずい、と宗太郎は内心ヒヤヒヤしている。
（これは明日…厄介なことになるぞぉ）
宗太郎は思わず、渋い顔になった。