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ソータローのこと…13

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「まるで、夢の中にいるみたいなんだ。
 今まで、自分のしたことも、されたことも全部…
 何だか実感がないんだ」
 ははっと、宗太郎が笑う。
「信じられないだろ?
 何しろボクだって、信じられないんだから」
そう言って、清子の方を見る。
「そう」
清子は短くそう言うと、宗太郎の隣にストンと座る。
「まぁ、私だって、似たようなものかな?
 いきなり親たちがあわてて、ここを離れたことも…
 今でもまだ、信じられないんだから」
膝をかかえて、宗太郎の顔をのぞき込む。
「ね」
初めて清子が笑った。

「でもね、ここに戻って来た…
 二人ともそろった、ということは…
 きっと、何かあると思うの」
 ねぇ、そう思わない?
清子はまっすぐに、宗太郎に視線を向ける。
「えっ?偶然だろ?」
 今さら、何を言いだすんだ?
宗太郎は面食らう。
「えっ、なになに?
 やっぱり清子は、相変わらず変人だ、って言うの?」
ケラケラと、清子が笑う。
「だけど…何だろうねぇ」
言い出したものの、特に何も思いつかないらしく、
「あ~あ」
ポンと清子は、足を投げ出す。
スカートのすそから、日焼けした健康的な太ももが、チラリと見える。
「あっ、のぞかないでよ」
すぐに宗太郎の視線に気が付くと、ササッとスカートのすそを直す。
「見ないよ」
宗太郎は、目をそらす。

「だけどねぇ、リョウくんまでいるなんて!
 何かありそうだと、思わない?」
 にぃっと笑って、宗太郎を見る。
(あっ、コイツ…面白がっているなぁ)
清子を見ていると、何だか大したことがなさそうにも思えてくる。
(何なんだ?)
黙り込む宗太郎に目をやると、
「あれ?
 あれれれれ?
 ソータロー、まさか…
 私のことを、惚れ直した?」
あはは!
豪快に、清子は歯を見せて笑った。
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