御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…７

「アイツ…お化け屋敷に出入りしている、という噂があるんだ」
　そう言いながら、宗太郎も木の陰から這い出してくる。
「その噂…本当だったんだな」
そぅっと、神社の裏を見下ろすと、雑木林の向こうを、慣れた足取りで
歩いている姿が見えた。
「あの人…もしかして、あの家の人？」
清子はまだ、考え込むようにする。
「さぁ？知らないけど？」
急に興味をなくしたような顔をして、宗太郎はその後ろ姿を見下ろしている。
「で、どうするつもり？」
清子は、隣に立つ宗太郎に目をやる。
「どうしようかなぁ」
宗太郎はまだ、迷っているように、立ち止まっている。

　あれっ？
清子はあることに、気が付く。
（ソータロー、何も覚えていないの？）
パッと見る限り、とても元気そうだ。
おかしなところは、見受けられない。
病気をした、とか、ケガをした、という様子もない。
「ねぇ～ここはよく、遊んだよね？」
　あの日のこと、覚えてる？
「そう？そうだっけ？」
宗太郎は、ボンヤリとしている。
（あれ？やっぱり…どうしちゃったの？）
　あの夏の日…まるで逃げるようにして、この町を宗太郎家族は出て行った。
それを追いかけるようにして、清子たちも引っ越した。
あんなに仲良かった両親たちも、あの日を境にして、連絡をとってはいないようだ…
「ねぇ、なんで？」
母さんに聞いたけれど、まるで聞いてはいけないことを口にしたみたいに、
にらまれてしまった。
「いい？清子。
　あなたは、もう忘れるの。
　ここで何があったのか…あなたは、誰にも話してはいけないの」
　なぜか母さんは、怖い顔をしてそう言う。
なんで、そんなことを言うのか？
どうして、ソータローのことを、聞いたらいけないのか…
清子には、わからなかった。