御手洗さんの言うことには…

１８

彼女の秘密…６

（何だか、まずいなぁ～）
　側にいるナギコは、ハラハラしながら見守っている。
サヤカがキュッと眉を上げて、何か言いたそうに、清子のことを
見ているからだ。
（御手洗さんも、御手洗さんよ！
　何で…あんな言い方をするのかしら？）
　おそらく彼女は、嘘を言えないタチなのだろう。
だけどそれは、人と場合による。
（サヤカのように、チヤホヤされるのに慣れている人にとっては…
　プライドを傷つけることになりかねない…）
　悪いことに、ならないといいけど…
心配しながら、ナギコは助けを求めるようにして、ユリコの方を見た。

「ねぇ～さっき、何をしていたのぉ？」
　ふいに、サヤカの隣に立っていた、サナエが声をかけてくる。
「さっき？」
急に、清子の顔色が変わる。
「えっ、なに？」
「なになに？」
「ねぇ、何を見たの？」
形勢逆転だ。
サナエの向かい隣に立っていた、部長のコトネも、身を乗り出す。
　この年頃の女の子は、とてもゴシップに興味があるのだ。
秘密の匂いをかぎ分けて、早速ハイエナのように、遠巻きにして
じぃっと見ていた女の子たちまで、急にこちらに注目をした。
「ほら、屋上で、何かしていたでしょ？」
澄ました顔で、サナエがここぞとばかりに、声を張り上げる。
「屋上？」
「えっ？」
「そんな所で、何をしてたの？」
ワラワラと一斉に、清子の周りを、あっという間に女の子たちが
取り囲んだ。