御手洗さんの言うことには…

１２

御手洗さんって、何者？

「御手洗さん…最近よく、お化け屋敷で見かけるんだけど…
　あそこで、何をしているの？」
　いきなりサヤカが、からかうように大きな声で言う。
「えっ、そうなの？」
いち早くナギコが、反応する。
やはり彼女のことが、気になるようだ。
「ホントーに、そうなの？」
軽々しく、人の噂の尻馬に乗りたくないのだが…
「ええ、そうよ」
まったくためらうことなく、あっさりとうなづく。
「へぇ～」
　何だか、信じられないような気分だ。
最近よく、男子部の生徒と歩いているのを見かけた…という噂も
耳にする。
本当のところは、どうなのかは知らないけれど…
本人を前にして、何となく聞きづらい。
　だが彼女は、全く平然とした顔で、
「そうよ」
潔く認める。
　一体、何を考えているのだ…
聞いているクラスメイトたちはみんな、そう思っていた。

「へぇ～何しに、行っているの？」
　サヤカの追及の手は、止まらない。
きっと何か、シッポを出すに違いない…
そう期待して、ニヤニヤしながら、こちらを向く。
「何って…友だちに会いに」
だが彼女はまったく動揺する様子もなく、堂々と落ち着き払った
態度だ。
「へぇ～友だち？」
　ただの友だち？
だが、サヤカを含め、みんな一様に彼氏がいるに違いない…と
思い込んでいるのだ。
「ねぇ、ホントーに友だち？」
探るようにして、サヤカが聞くので、
「もちろん、そうよ！」
大きくうなづくと、
「あなただって、いるんでしょ？」
逆に聞き返してきた。