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第16章 リターン、まさかの再会

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「私は今まで、ずーっとこうやって、人の世話ばかり焼いて来たから…
 人のお世話になるの、慣れていないのよ」
 恥ずかしそうな顔をして、エラは言う。
チラリとエラを見つめると、
「ホント、変わったお姫様ですね!」
クスクスと笑いながら、ミキは持ってきたドレスを、すぅっと差し出した。
「そう?それから私はね、お姫様ではなくて、普通の女の子なのよ!」
ハッキリとそう言うと、「いい?」とミキをのぞき込む。
「それと、エラ、と呼んでね」
クルリと後ろを向いて、
「でもやっぱり、背中のボタンをはずしてもらえるかしら?」
ミキに背中を突き出した。
「あっ、はい」
ミキもごく自然に、エラの背後に回る。
年齢が近いせいか、どこか親しみを感じているミキだ。

「ね、あなたはどこに、住んでいるの?」
恥ずかしがることなく、エラは手早くスルリと服を着替える。
「この別荘に来る前は、この近くの村に住んでいました」
はにかむように、ミキは答える。
「ここへは、なんで?」
「学校を卒業して、どこかに働きに出ようかと思っていたら…
 丁度マーサさんが、母の知り合いに、声をかけてくれたんです。
 それで、ここに…」
背中のボタンをポチポチと留めながら、ミキはドレスのシワを伸ばす。
「ね、この部屋にいる時は…普通に話してもいいのよ!
 だって、私…お姫様じゃあないもの!
 私の話し相手になってくれない?」
熱くエラが語る。

 本来の自分ならば、このミキと一緒に、この家の掃除や、洗濯物を
干したりしたいものだけど…
(きっと、仲良くやれるわ、とエラは思う)
やはり、こういう下働きのような仕事をするのが、自分には性に合うと
エラはひそかに思っている。
だが、今はそういうわけには、いかないらしいので、エラはとても残念に思う。
(それなら私…何をして、時間をつぶすの?)
逆に心配になる、エラであった。
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