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第16章 リターン、まさかの再会

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(おそらく考えたって、わからないだろう…)
 今となっては、自分がこの王子と一緒になった方が、幸せなのか
どうかも、エラにはよくわからない。
初めて王子と会った時の高揚感は、もうすっかり影を潜めて…
(この人って、本当に、私の運命の相手なのかしら?)
今度は疑問にすら思う。
そんなことって、ある?
そう思うけれども…

 ほんの数日前にあった、あの不思議な世界の出来事が、実のところは
エラは今でも、忘れられないのだ。
もちろん、わかっている。
自分は、現代の世界の住人ではない。
だけども…あの刺激的で見たことのない世界、
そして優しい人たちと、もう1度一緒に、暮らしてみたい…
そんな新たな感情が、湧きおこってきたのも、真実なのだ。
 エラは幼い頃から、ずっと願っていた。
どこか遠くの、知らない世界へ行ってみたい…
その願望が、突発的な事故(不測の事態ではあるけれど)とはいえ、
思いがけず、誰もしたことのない経験がかなえられたのだ。
 もしかして、という思いが、わずかにエラの心の中で芽生えていた。
それは到底、許されることではないのかもしれない…
わかってはいるけれども。
それでもその考えはとても、エラにとっては、魅力的なことだった。

 真剣な顔で、考え込むエラの元に、2人のメイドが戻って来た。
「あら!すっかり打ち解けたみたいねぇ」
先程までの警戒心も、すっかり薄れてきて、1人の客人として、相対して
いるように見える。
「まぁ、そんな風に見えますか?」
エラは少し照れたように、顏を赤くしてみせると、
「こうして見ると…あなたたち、何だかとっても、お似合いですねぇ」
御世辞ではなく、本心のような口ぶりに聞える。
「そうですか?」
そんな風に考えたことがなかったので、エラはさらに、はにかんでみせた。
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