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第15章 ラストチャンスは突然に?
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突然、もとの世界に戻ってきた…
一体何が起こったのか、信子にはまだ、理解が出来てはいなかった。
「あなた…お名前は?」
ようやくカスミさんが、信子に聞く。
「私の名前は…信子です」
「そう…信子?」
大きくうなづくけれど、この優しい女性は、余計なことを無理には
聞き出そうとはしない。
「信子…あなたは、あそこで何をしていたの?」
信子の顏をのぞき込む。
だが信子は、黙って頭を振るばかりだ。
「そう…」
もっとも信子自身も、どうしてあのトンネルにいたのか、よくわからない。
だから…何を聞かれても、答えようがないのだ。
「そう…」
カスミさんは困った顔をする信子に、にっこりと微笑みかける。
「とにかく今日のところは、ゆっくりと休みなさい。
これからのことは、また後で話しましょ?」
そう言うと…
「行きましょ」と、運転席のシューヘイをうながす。
彼もまた、黙ったままうなづくと、車のハンドルを握った。
やっと、戻って来た!
そう思うけれども…
信子自身はまだ、ピンとこない。
それとも、あのおとぎの国の世界での出来事は、夢の中の出来事なのか?
まだ、ボンヤリとそう考える。
あれが夢だとしたら、何と素敵な夢なのだろう…
(城の一室に、閉じこもってはいたけれど)
あのきれいなお城の中で、とても大切に扱われて、
しかも自分が、プリンセスになるなんて!
(この私がよ?)
しかもハンサムな王子様と、一緒に暮らすなんて!
あの数日間の出来事を、まるで遠い昔のように、懐かしく思いだされた。
この世界に戻ってきて…じわじわと、元の記憶が戻りつつあるけれど…
本当に、これでいいのか、
自分がこれからどうしたいのか、どうすればいいのか、
まったくわからないのだ。
後部座席で、黙って窓の外を見ていると…
心配そうに、カスミさんが助手性から振り向いていた。
一体何が起こったのか、信子にはまだ、理解が出来てはいなかった。
「あなた…お名前は?」
ようやくカスミさんが、信子に聞く。
「私の名前は…信子です」
「そう…信子?」
大きくうなづくけれど、この優しい女性は、余計なことを無理には
聞き出そうとはしない。
「信子…あなたは、あそこで何をしていたの?」
信子の顏をのぞき込む。
だが信子は、黙って頭を振るばかりだ。
「そう…」
もっとも信子自身も、どうしてあのトンネルにいたのか、よくわからない。
だから…何を聞かれても、答えようがないのだ。
「そう…」
カスミさんは困った顔をする信子に、にっこりと微笑みかける。
「とにかく今日のところは、ゆっくりと休みなさい。
これからのことは、また後で話しましょ?」
そう言うと…
「行きましょ」と、運転席のシューヘイをうながす。
彼もまた、黙ったままうなづくと、車のハンドルを握った。
やっと、戻って来た!
そう思うけれども…
信子自身はまだ、ピンとこない。
それとも、あのおとぎの国の世界での出来事は、夢の中の出来事なのか?
まだ、ボンヤリとそう考える。
あれが夢だとしたら、何と素敵な夢なのだろう…
(城の一室に、閉じこもってはいたけれど)
あのきれいなお城の中で、とても大切に扱われて、
しかも自分が、プリンセスになるなんて!
(この私がよ?)
しかもハンサムな王子様と、一緒に暮らすなんて!
あの数日間の出来事を、まるで遠い昔のように、懐かしく思いだされた。
この世界に戻ってきて…じわじわと、元の記憶が戻りつつあるけれど…
本当に、これでいいのか、
自分がこれからどうしたいのか、どうすればいいのか、
まったくわからないのだ。
後部座席で、黙って窓の外を見ていると…
心配そうに、カスミさんが助手性から振り向いていた。
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