おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

第14章 チェンジ！

８

　あれは、どこだったのかは、どうしても思い出せないのだけれど…
おそらくは、光のトンネルの影響のせいなのだろう…
信子は勝手に、そう解釈していた。
（この世界にも、魔法使いって、いるの？）
ふとそんなことを、信子は思う。
　もっとも信子はまだ、あの魔法使いのおばあさんが、ホンモノなのか
どうか…疑っているのだけれども。


　一方信子たちに背を向けると、案外あっさりと、その2人組はトンネルの
出口へと、向かって行く。
その後ろ姿を見つめながら、
「あの人たちって、どんな人？」
懐中電灯で、カスミさんが照らしていると、いきなりクルリと振り返る。
「どんなって…」
信子は答えに困って、口ごもる。
　何しろ今さっき会ったばかりで（彼女の記憶の上では）ほぼ全く知らない
赤の他人だ。
（まさか、たぶん初対面の人です…なんて言っても、信じてくれないだろうなぁ）
信子は困り顔になる。
　一体どうしたら、信じてもらえるのだろうか…と、頭をひねっている。
（思えば、あの人たち…案外スンナリと、私の事を受け入れてくれたなぁ）
初めてカスミさんに会った時のことを、信子はボンヤリと思い出す。
（確か、道の端っこで、拾ってもらったんじゃあなかったっけ？）
うろ覚えではあるけれど、そんなことがふいに思い出されてきた。
（この人、私たちのことを…覚えているのだろうか？）
聞いてみたい気がする。


　再び懐中電灯を手に、前を歩くカスミさんと、シューヘイの背中を見つめる。
どうやらやはり、カスミさんは、どこかで会ったことがあるようだ…
とは思っているようだ。
そう思うのだけれど、やはり魔法の力の効き目は、もしかしたら…
人によって、個人差があるのかもしれない。
人によっては、記憶も違うのかなぁ～
そう思う信子であった。