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第14章 チェンジ!

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 カツンカツン…と足音が響いてきて、しゃがみ込んでいる信子に
近づいて来た。
その人は、ゆっくりと信子の顏をのぞき込むと、
「あら、あなた!
 さっきの女の子、見かけなかった?」
何だかおかしなことを、聞いてくる。
見掛けるもなにも、自分はここへ来た、という覚えさえないのだ。
大体ここは、彼女にとっては、見覚えのない場所で…
一体、どうやってここへ来たのか、
何があったいうのか、
まさか自分は、さらわれたのか…
不安な思いで、信子は女性を見返す。
「ね、立てる?」
すぃっとその人は、手を差し出す。
信子は差しだされた手につかまって、とにもかくにも立ち上がる。


 そのシチュエーション、何かに似てはいないか…
そう思うけれども、まったく何のことなのか、どうしても思い出すことが
出来ない。
一体、何があったのか?
不安に思うけれども…
(もしかして、自分がおかしいの?)
自分でも、何だか自信がない。
「あら、あなた!
 前にも、会ったことが、ない?」
息が届きそうなくらい、さらにその人が信子の顏をのぞき込んだ。

「何をやっているの?カスミさん!」
 暗闇からまた、声が聞こえてくる。
他にも人の気配がするので、どうやら1人きりではなさそうだ。
「ね、あなた。一体、どこから来たの?」
さらに別の声が聞こえてきた。
おそるおそる信子は…人の声がする方へと近づいて行く。
 じぃっと信子のことを、見つめる視線を感じた。
本当言うと、いつもならおじ気づく信子だが…
何となくこの人たちは、悪い人ではなさそうな気がする。
カスミさんと呼ばれたその女性は、信子が転ばないようにと、
足元を懐中電灯で照らし出し、さらにもう片っ方の肩に、
うす汚れた(およそ似つかわしくない)トートバッグを引っかけていた。
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