128 / 250
第13章 あべこべシンデレラ
5
しおりを挟む
「どういうことなんですか?」
深く息を吸い込むと…エラに向かって言う。
「どういうことって?」
何となく、意味はわかっていたけれども…どこまで理解しているのか、
エラには確信が持てなかった。
「あのお姫様を、どこへやったの?」
探る目付きで、継母は言う。
まるで突然、降ってわいたように現れたエラが、どこかに隠したのでは
ないか…と思っているようだ。
(まるで、魔法よね)
そう思うけれども。
「どこって言われても…私は、何も…」
わけのわからぬままに、口ごもるエラだ。
「何もって…だってあなた、どうしてここにいるんですか?」
今度は女の子も言う。
「早く見つけないと…王子様に叱られてしまいます」
その女の子は、今にも泣き出しそうな顔をした。
どうやら彼女は、新入りの使用人のようだ。
エラも段々と事情がわかってくる。
そうして、もう一つ。
あの女の子は、自分と入れ替わりに、おとぎの国へ飛んだらしい…ということだ。
そしてまた、自分と入れ替わりに、元の世界に飛ばされたらしい。
(どうも私がここにいると、あの女の子と一緒にいる、というのは
出来ないみたいだ…)
それが、どうしてなのか?
どういう意味があるのか?
その事情は、今のところ、まったくわからないけれども。
「あなた、何しにここに来たのですか?」
少し落ち着いてきたのか、エラは回りの様子を見ながら、その女の子に
話しかける。
(お義母さん…まさか、あの女の子に、何をしようとしていたの?)
自分のために、周りの人を巻き込むのは、間違っている…と思う。
だが、どうやらまだ、あの継母は、自分のことを(シンデレラだ、ということを)
気付いてはいないようだ、とエラは思う。
今もまだ、エラのことを、にらみつけるようにしているのを感じると、少し
悲しくなる。
(彼女の性格は、これでも十分わかっているつもりだけど)
「あのぉ、今、何をしていたのですか?」
遠慮がちに、声をかけると…
非難された、と感じたのか、継母はようやく、パッとその手を離した。
深く息を吸い込むと…エラに向かって言う。
「どういうことって?」
何となく、意味はわかっていたけれども…どこまで理解しているのか、
エラには確信が持てなかった。
「あのお姫様を、どこへやったの?」
探る目付きで、継母は言う。
まるで突然、降ってわいたように現れたエラが、どこかに隠したのでは
ないか…と思っているようだ。
(まるで、魔法よね)
そう思うけれども。
「どこって言われても…私は、何も…」
わけのわからぬままに、口ごもるエラだ。
「何もって…だってあなた、どうしてここにいるんですか?」
今度は女の子も言う。
「早く見つけないと…王子様に叱られてしまいます」
その女の子は、今にも泣き出しそうな顔をした。
どうやら彼女は、新入りの使用人のようだ。
エラも段々と事情がわかってくる。
そうして、もう一つ。
あの女の子は、自分と入れ替わりに、おとぎの国へ飛んだらしい…ということだ。
そしてまた、自分と入れ替わりに、元の世界に飛ばされたらしい。
(どうも私がここにいると、あの女の子と一緒にいる、というのは
出来ないみたいだ…)
それが、どうしてなのか?
どういう意味があるのか?
その事情は、今のところ、まったくわからないけれども。
「あなた、何しにここに来たのですか?」
少し落ち着いてきたのか、エラは回りの様子を見ながら、その女の子に
話しかける。
(お義母さん…まさか、あの女の子に、何をしようとしていたの?)
自分のために、周りの人を巻き込むのは、間違っている…と思う。
だが、どうやらまだ、あの継母は、自分のことを(シンデレラだ、ということを)
気付いてはいないようだ、とエラは思う。
今もまだ、エラのことを、にらみつけるようにしているのを感じると、少し
悲しくなる。
(彼女の性格は、これでも十分わかっているつもりだけど)
「あのぉ、今、何をしていたのですか?」
遠慮がちに、声をかけると…
非難された、と感じたのか、継母はようやく、パッとその手を離した。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!
本条蒼依
ファンタジー
主人公 山道賢治(やまみちけんじ)の通う学校で虐めが横行
そのいじめを止めようと口を出した瞬間反対に殴られ、後頭部を打ち
死亡。そして地球の女神に呼ばれもう一つの地球(ガイアース)剣と魔法の世界
異世界転移し異世界で自由に楽しく生きる物語。
ゆっくり楽しんで書いていけるといいなあとおもっています。
更新はとりあえず毎日PM8時で月曜日に時々休暇とさせてもおうと思っています。
星マークがついている話はエッチな話になっているので苦手な方は注意してくださいね。
殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません
真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~
桜井正宗
ファンタジー
おっさんに唯一与えられたもの――それは【オートスキル】。
とある女神様がくれた素敵なプレゼントだった。
しかし、あまりの面倒臭がりのおっさん。なにもやる気も出なかった。長い事放置して、半年後にやっとやる気が出た。とりあえず【オートスキル】を極めることにした。とはいえ、極めるもなにも【オートスキル】は自動で様々なスキルが発動するので、24時間勝手にモンスターを狩ってくれる。起きていようが眠っていようが、バリバリモンスターを狩れてしまえた。そんなチートも同然なスキルでモンスターを根こそぎ狩りまくっていれば……最強のステータスを手に入れてしまっていた。これは、そんな爆笑してしまう程の最強能力を手に入れたおっさんの冒険譚である――。
追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~
一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】
悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……?
小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位!
※本作品は他サイトでも連載中です。
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した王子・アンジェロは、隣国の陰謀によって追放される。しかし、その追放が、彼の真の才能を開花させた。彼は現代知識を活かして、内政で領地を発展させ、技術で戦争を制することを決意する。
アンジェロがまず手がけたのは、領地の開発だった。新しい技術を導入し、特産品を開発することで、領地の収入を飛躍的に向上させた。次にアンジェロは、現代の科学技術と異世界の魔法を組み合わせ、飛行機を開発する。飛行機の登場により、戦争は新たな局面を迎えることになった。
戦争が勃発すると、アンジェロは仲間たちと共に飛行機に乗って出撃する。追放された王子が突如参戦したことに驚嘆の声が上がる。同盟国であった隣国が裏切りピンチになるが、アンジェロの活躍によって勝利を収める。その後、陰謀の黒幕も明らかになり、アンジェロは新たな時代の幕開けを告げる。
アンジェロの歴史に残る勇姿が、異世界の人々の心に深く刻まれた。
※書籍化、コミカライズのご相談をいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる