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第8章 私を探して…
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「狭苦しくて、申し訳ない」
信子の視線に気付くと、王子があわてて早口で言う。
「いえ、そんなぁ~大きいくらいですよ」
とんでもない、と信子も手を振って答える。
おそらくだけど、たぶん私の家よりも…
反射的にそう言いかけて、自分の家はどうだっただろう、と信子は
頭をひねる。
(あれ、家?
どうしてそんなこと…思ったんだろう?)
家のことも、家族のことも、まるで覚えていない、というのに…
この家を見ていたら、何か懐かしい思いがする。
何だか自分の記憶を刺激されるような…そんな予感がしていた。
「へぇ~キミの家、こんな感じなのかぁ」
信子の様子には、王子は気付かない。
のんきな顔で、ひとり言を言うように、
「小さいけれど、意外と居心地もいいんだよなぁ」
ニッコリと微笑んだ。
ここに、この人と一緒に、しばらく過ごすのか…
急にそう思いが至ると、信子の顏が熱くなる。
(もしかして、私…本当に、この王子様と一緒になるの?)
これまでに、そんなことを、これっぽちも考えていなかったなぁ~と思う。
「ここに住むの、いやかい?」
急に無口になった信子を見ると、てっきりこの家が気に入らないのか?
と王子は勘ぐり、ガッカリとした声になる。
「あのぉ~やっぱり、王子様も一緒に?」
念のため、確認してみよう…と聞いてみる。
もしかしたら、信子だけかもしれない。
だが王子は軽くヘラリと笑うと、
「それは、もちろんだろ?」
婚約者を1人には出来ないし…
いともあっさりと、うなづく。
それを耳にして、信子は照れたように、モジモジとする。
顏を真っ赤にさせて、困ったようにうつむいた。
信子の視線に気付くと、王子があわてて早口で言う。
「いえ、そんなぁ~大きいくらいですよ」
とんでもない、と信子も手を振って答える。
おそらくだけど、たぶん私の家よりも…
反射的にそう言いかけて、自分の家はどうだっただろう、と信子は
頭をひねる。
(あれ、家?
どうしてそんなこと…思ったんだろう?)
家のことも、家族のことも、まるで覚えていない、というのに…
この家を見ていたら、何か懐かしい思いがする。
何だか自分の記憶を刺激されるような…そんな予感がしていた。
「へぇ~キミの家、こんな感じなのかぁ」
信子の様子には、王子は気付かない。
のんきな顔で、ひとり言を言うように、
「小さいけれど、意外と居心地もいいんだよなぁ」
ニッコリと微笑んだ。
ここに、この人と一緒に、しばらく過ごすのか…
急にそう思いが至ると、信子の顏が熱くなる。
(もしかして、私…本当に、この王子様と一緒になるの?)
これまでに、そんなことを、これっぽちも考えていなかったなぁ~と思う。
「ここに住むの、いやかい?」
急に無口になった信子を見ると、てっきりこの家が気に入らないのか?
と王子は勘ぐり、ガッカリとした声になる。
「あのぉ~やっぱり、王子様も一緒に?」
念のため、確認してみよう…と聞いてみる。
もしかしたら、信子だけかもしれない。
だが王子は軽くヘラリと笑うと、
「それは、もちろんだろ?」
婚約者を1人には出来ないし…
いともあっさりと、うなづく。
それを耳にして、信子は照れたように、モジモジとする。
顏を真っ赤にさせて、困ったようにうつむいた。
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