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第8章 私を探して…

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「キミってさ…ずいぶん変わった女の子だねぇ」
 お城の外に出ると、王子は信子と共に、迎えが来ている場所へと向かう。
入り口の近くには、馬車が1台、横づけされていた。
すでに馬車には、小間使いさんたちが、パッキングしてくれた荷物が
積み込まれている。
 何1つ持たず、いわばもらい事故にあって、この世界に来たはずだったけれど…
お妃からの心遣いの品物が、用意されていた。
いつの間に、自分は、この世界に足を踏み入れて、かかわりを持ち始めたのだ…
と、信子は不思議な運命を感じ、ボンヤリと、自分の知らない荷物を見つめる。
だけど乗ろうとして、ハタと足を止める。
タクシーではないので、乗り方がわからないのだ。
まさか、スカートをまくり上げて、乗るわけにはいかない。
どうしたら、正解なの?とモゾモゾしていると…
「キミって、もしかして、馬車に乗ったことがないの?」
王子が気が付く。
「えっ」
「今までどうやって、移動していたの?」
不思議な人だなぁ~と、王子がおかしそうに笑う。
(まさか、未来から来た、とは言えないし)
そもそも、住む世界自体が違うのだ。
事実、本物の馬車を目の当たりにするのは、初めてなのだ。

 しかたない…
覚悟を決めて、信子はバスに乗るようにして、上がればいいか…と思い、
それならば、靴をはいたままでもいいのか、とか
ステップは、つけてもらえないのか、とか
本物のシンデレラは、どうしていたのか、と…迷う。
(信子はエラと違い、小柄なのだ)
恥ずかしそうにうつむくと、
「バスに乗るとか、自転車とか、歩きなら、自信があるけど…」
小さな声で、つぶやくように言うと、
「えっ、バス?」
キョトンとした顔で、王子は聞き返す。
「それって、お風呂のこと?」
「そうじゃなくて…長い乗り物です」
 そういえば…と信子は思い返す。
ここには車というものが、見かけないなぁ~と。
まさか本当に、ここはおとぎの国なのか?
映画で見るような、眠れる森の美女とか、シンデレラとか、白雪姫とか…
あのディズニー映画で見るような、世界なの?
何だかとても、奇妙な思いにとらわれた。
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