おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

第7章 女の子は誰でも天使になれる

３

（ホントに、ここがボクの家なのか？）
　思わずタクトは、ドアを閉めて、もう1度部屋番号を確かめようと、
反射的にドアの外へ出ようとしたくらいだった。

「おかえりなさい」
　靴を脱いで、スリッパに足を突っ込むタクトに、エラは声を
投げかける。
いつもは恥じらって、そんな真似はしないのだけれど…
少しでも、きれいになった部屋に気付いて欲しい…
と純粋に、思っていたんだ。
「ただいま」
振り返るなり、エラを見ると、
「えっ」と固まる。
　そもそもこの娘の顏を、じっくりとよく見た覚えがない…
彼女を拾った昨日は、（自覚はないのだが）
酒がはいっていたし、今朝も急いでいたので、じっくりと
見た記憶がない。
だから一瞬、そこに立つ人は、ナニモノだ？
と顔を

無理もない…
モールでかなりの時間をかけて、粘った後、おもわず
「これ、いい！絶対。ビックリするよ」
ユリカさんの選んだワンピース。
驚かせよう…と張り切って、目一杯エラをオシャレさせたのだ。
「こんなに可愛いんだから、もっとオシャレをしなくちゃあ」
もともと目鼻立ちが、クッキリハッキリとした、西洋人形のような
顔立ちをしているので、エラのことを、着せ替え人形のように、
エラのことを、着せ替え人形のように、
（リアルバービーよりも、確実に可愛い～！）
幾分興奮して、とっかえひっかえユリカさんは、散々楽しんでいる。
着替えるエラとしては、かなり疲れているようだ。

「これで、いい！絶対にビックリするよ」
　ユリカさんが、明るく言いきる。
「わかってる」
そう言いつつも、自分は薄情だな、と後ろめたい気持ちになる。
「すごいわ、あなた…何でも着こなしちゃうのね！」
感嘆の声を上げる。
白い肌に、すこし明るい色の髪…
すんなりとした、長い手足。
女の子ならば誰でも憧れるような、そんな姿かたちをしているのだ。