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第3章 不思議な国のシンデレラ

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「シーツを洗おう」
 すっかりうれしくなり、エラは部屋に戻ると、鼻歌を口ずさむ。
気が付かなかったけれど、こういう仕事…どうやら嫌いじゃあないようだ。 
ペッドからシーツを、エイヤッと引っ剥がすと、枕カバーもむしり取る。
パンパンパンと軽くはたくと、
「たらい、たらい」とブツブツ言いながら、探してみる。
だが、1人暮らしの男性の家に、そんなものがあるわけがない。
(あっ、そういえば…洗ってくれる箱があるんだっけ?)

 エラもようやく学習したのだ。
以前この世界に初めて来た時に…
だが残念ながら、克明な記憶がないのだけれど…
珍しい機械があったはず、とボンヤリと覚えている。
(よかった!全く忘れたわけじゃないんだ!)
 人の顏や、名前を忘れてはいても、日常生活のことは、体が覚えて
いるものらしい。
「よしっ」
 気をよくして、ひとまず洗濯機を探すことに。
以前見たのは、四角い箱に自動で水をためる容器と、絞る部分と
2つある機械だった。
(どこ?どこに、あるのかなぁ~)
残念なことに、目指す機械が見つからない。
だが、昨日借りたシャワー室のところに、この部屋の家主である男性が、
汚れ物を突っ込んでいるのを見かけたから、
おそらくは、これだろう…
「でも、これって、どうやって使うの?」
目指す機械は、以前見たのとは、見た目からして違う。
四角いは箱に、大きな窓が1つ。
その中に、タオルや靴下が突っ込んであるのが見えた。
フタを開けたり、閉じたり、のぞき込んだり、外観を見たりして…
だがそれよりも、気になる光景が早速目に飛び込んできた。
「あら、何でこんな所に、洗濯物が?」

 夜には気付かなかったのだが、シャワー室に金属の棒が渡してあり、
そこには金属のハンガーで、タオルやシャツが干してある…
「今日は、とってもいい天気だっていうのに」
もったいないなぁ~
そうエラは思う。
後でベランダで干してやろう…と思い、洗濯機のフタを開ける。
「おい、洗剤って、どこに入れるの?」
開けたり閉めたりしながら、考え込んでいると…
「あら、あなた! 
 そんな所で、何をやっているの?」
いきなり大きな声が、響いて来た。

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