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第2章 君は誰?

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 吸い寄せられるようにして、光のトンネルに向かって歩いて
いた…と思う。
その時は確かに、私は1人ではなかった。
だけどそれは、どこにも確証はない。
けれども確かに、私は誰かと一緒に歩いていた…
その時に、声が聞こえてきたのだ。
「エラ!」と。
でもそれは…私に向けてのものではなかった、と思う。
でも、私にはわかっていた。
それは(あの人)に向けてのものだったのだ。

 覚えているのは、その人が私に向かって
「幸せになってね」とささやいたことと、
その後、思い切り背中を強い力で押されたことだけ…
(もっとも、転びそうになったけどね)
 確かに覚えているのは、その時12時の鐘が鳴ったこと!
なんで知っているのかって?
それはここに来て、毎晩12時になるときまって、お城の塔にある鐘が
鳴るからなのだ。
 
 あの日のことは、ボンヤリと覚えている…
12時の鐘が鳴り終わった後、周りが真っ白に光り輝いて、
何も見えなくなった…ということ。
ただ隣にいた女の子が、何かを叫んでいた…というのは、
覚えているけれど、何を言っていたのかは、よく聞き取れなかった。
そうして目の前には、確かに男の人やおばあさんの姿が見えていた。
 それから気が付いた時には、いつの間にかお城の1室で、
寝かされていたのだった。
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