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第1章 トンネルの向こうには…

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 一体、どうしたらいい?
1人になったエラは、再びベッドに横たわるものの、
目が冴えて眠れない…
(この人について来て、本当によかったのかなぁ?)
ふと不安になる。
しかもこのドサクサで、どうやら持っていた荷物もすべて、
なくしてきてしまったようだ…
(困ったなぁ~どうしよう?)
 ここに来る前に、肩にかけていたバッグには、着替えのほかに
大切なものが、入っていたのだ。
ところが今は…それが、どこにもない。
今あるのは、自分が今日、身に着けていた服のみ…
さすがに、さっき困るだろう…と、この部屋の男性が、
Tシャツとジャージを貸してはくれたものの…
男物のシャツは、ダブダブ。
ジャージに至っては、ズルズルと、ズボンがずり落ちるのを、
手で引っ張り上げる状態だ。
服のことは、この際あきらめもつくけれど…
(さすがに下着は困るけど)
『あれ』をなくしてしまったら、困るのだ。

(どうしよう?)
 エラはさらに、考え込む。
(一体、どこに落としたのだろう?)
まずは、ここがどこなのか…ということと、
(どうやら、この男性の家らしい)
そうしてさらに、どうやってここに来たのか…ということ、
この人と一緒にいても、本当に大丈夫なのだろうか、と不安になる。
 だけど、唯一の手掛かりをなくした今…
とりあえず、ここに置いてもらう以外、選択肢はない。
(せめて…知っている人がいれば!)
そう思うけれども、自分が思い出せない今…
その人たちが、自分のことを覚えている、という保障は
どこにもないのだ。
さすがにすぐに、自分のことは思い出したけれども。
本当の自分のことをあかしても、おそらくこの世界の誰も、
自分のことを信じてくれないだろう…
ということは、彼女にもわかってはいた。

(あの子は無事に、たどり着いたのかなぁ)
 これだけは、うっすらと覚えている。
あの光のトンネルで、自分と一緒に入って、すれ違ったあの女の子…
今でも手がまだ、あの子を押したその感触だけは、覚えている。
名前も顔も、忘れてしまった…というのに。
(せめて、あの子だけは、無事にたどり着けますように!)
そう願うのだった。
 アレコレと考えをめぐらせているうちに、いつの間にか
眠りに落ちていた。
目を閉じたその瞬間…
再び、あの光のトンネルを見たような気がしていた。
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