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第15章
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「大切な小鳥、
私の小鳥…
きみはどこに、行ってしまったの?
私のすべてを、きみに…」
神林君は声に出して、読み上げる。
それをオジサンは「はっ!」
と声をたてて笑う。
「ジイサン、えらくロマンチストだなぁ~
これって、恋文か?」
「ラブレター?」
「ポエムだな」
パートナーの男と目を見合わせると、はははとまた笑い飛ばす。
だが、神林君の反応は微妙だ。
「ジイサンは、そういうタイプじゃない」
そうつぶやくと、再びその文字に目をおとす。
「確かに、そうだなぁ」
宗太郎の顔をのぞき見る。
「これはきっと…何かのメッセージだ」
オジサンの方ではなく、宗太郎に向かってそう告げる。
「やっぱり、そうなるのかなぁ」
爆笑しているオジサンのことは無視して、二人は互いに目を見合わせて
うなづく。
「たぶん、小鳥っていうのが…その女の子のことだな」
大真面目な顔をして、宗太郎に向かって言う。
「どこへ行ってしまったの…ということは、いきなりいなくなった…
ということかぁ」
宗太郎も続ける。
「キミにすべてを…ということは、財産を譲るっていうことか?」
神林君も、宗太郎と目を見合わせて、そう言う。
「ということは…この小指の持ち主は…その女の子ってこと?」
試しに、清子が口をはさむ。
「まさか、それじゃあ…もう、この世にはいないの?」
初めて宗太郎は、神林君に向かって、食いつくようにして尋ねた。
私の小鳥…
きみはどこに、行ってしまったの?
私のすべてを、きみに…」
神林君は声に出して、読み上げる。
それをオジサンは「はっ!」
と声をたてて笑う。
「ジイサン、えらくロマンチストだなぁ~
これって、恋文か?」
「ラブレター?」
「ポエムだな」
パートナーの男と目を見合わせると、はははとまた笑い飛ばす。
だが、神林君の反応は微妙だ。
「ジイサンは、そういうタイプじゃない」
そうつぶやくと、再びその文字に目をおとす。
「確かに、そうだなぁ」
宗太郎の顔をのぞき見る。
「これはきっと…何かのメッセージだ」
オジサンの方ではなく、宗太郎に向かってそう告げる。
「やっぱり、そうなるのかなぁ」
爆笑しているオジサンのことは無視して、二人は互いに目を見合わせて
うなづく。
「たぶん、小鳥っていうのが…その女の子のことだな」
大真面目な顔をして、宗太郎に向かって言う。
「どこへ行ってしまったの…ということは、いきなりいなくなった…
ということかぁ」
宗太郎も続ける。
「キミにすべてを…ということは、財産を譲るっていうことか?」
神林君も、宗太郎と目を見合わせて、そう言う。
「ということは…この小指の持ち主は…その女の子ってこと?」
試しに、清子が口をはさむ。
「まさか、それじゃあ…もう、この世にはいないの?」
初めて宗太郎は、神林君に向かって、食いつくようにして尋ねた。
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