となりのソータロー

daisysacky

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第14章

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 それから凄まじい勢いで、コマ落としのように、様々なシーンが
宗太郎の頭の中で、パパパパパパ…と、浮かんでは消える。
「あっ…あっ…あっ…」
 今のは、何だ?
 どういうことだ?
 先生は…今、何をしたんだ?
そう問い詰めたいのに、うまく言葉が出てこない。

「キミは…この家に、来たことがあるね」
 先生のゆったりとした声が、宗太郎の頭の奥に響いてくる。
「えっ?」
 その瞬間、頭に浮かんできたのは…
雑木林を縫うように、走り回っている子供たちの姿だった。
「キミは今…この家にいる。
 その時キミは…何を見た?」
先生の声が、はるか彼方に響いてくるけれど…
宗太郎自身は、もうそこにはいない。
目の前には『彼ら』がいた。
「誰か、いる…」
 まるで時間を逆回ししたように、幼い子供のような口調に
変わっている。
 目の前の出来事に…清子は口に手をあてて、悲鳴をこらえている
ようだった。

「リョウくんがいる…
 それと、清子ちゃんも」
「そう…今、どこにいるの?」
「おそと…」
「じゃあ…家の中には、誰かいるの?」
 そう聞かれた時に、宗太郎は頭に手をあてて、
「わかんない…」
可愛らしい仕草で、頭をかしげる。
「それじゃあ、家に入ってみようか」
「うん」
コクンとうなづくと、宗太郎は目の前の、何も見えない透明な空間に、
手をゆっくりと伸ばした。
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