となりのソータロー

第14章

１６

　ははは…
先生は、声をたてて笑う。
「おまえたち…ずいぶん、見せつけてくれるなぁ」
学校では見せないような、ハツラツとした笑顔だ。
「いいなぁ～青春かぁ～」
若いって、いいよなぁ～とボヤく。
「何だよ、先生！年寄りくさいことを言って」
珍しく神林君が、いたずらっ子のような目で、先生を見る。
「そりゃあ、そうだろ！
　おまえたちから見たら…ボクはただの中年のオジサンだ」
　そういえば…高梨先生って、独身なのだろうか？
神林君のオジサンと同級生ということは…そこそこの年齢のはず。
「先生！いい人、いないの？」
わびしいなぁ～
ヘラヘラと、宗太郎が言う。
「よかったら、紹介しましょうか？」
思わず清子が、口をはさんだ。


「先生！先生って…長谷川って男のこと、知っていますか？」
　ようやく宗太郎が、本題を切り出す。
「なんだ？」
さっきまで、リラックスモードだった先生も、ようやく真面目な顔になる。
「長谷川？」
やはり、すぐには思い出せないようだ。
「オジサンの友だち…と言っていました」
まさか、パートナーだとは言えない。
（ビジネスパートナーだか、何のパートナーなんだか？）
思わず神林君が、苦々しい顔になる。
「その人…先生に話を聞け、と言っていました」
こうなったら、素直に全部話してしまおう…
宗太郎は、そう心に決めた。