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第14章
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(どうする?) 宗太郎は、清子と目を見合わせる。
(例の件…聞く?)
目で合図を送っているけれど…互いに中々、言い出せない。
まさか…
『先生、おじいさんから、何か聞いていませんか?
何か預かったりしていませんか?』
などと、ストレートに聞くわけにもいかない。
しばらく、考えあぐねていると、
「どうした?何か気になることが、あるんだろ?」
逆に、先生が水を向けてくる。
(本当に、先生は…何も知らないのか?)
あまりにもタイミングよく現れたのは、偶然なのか、どうなのかと、
宗太郎は、危ぶんでいる。
「神林、どうした?何かあったのか?」
先生が、神林君の方に目を向ける。
「実は…オジサンが、ここに来て」
神林君は腹を決めたように、先生にまっすぐ視線を向ける。
「オジサン?」
そんな人がいたのか?
先生の表情は、ウソをついているようには見えない。
「オジサン…先生の友だちだって…」
そう言う彼の目は、鋭く光っている。
「友だち?神林っていう友だちは、いないけど?」
心当たりがなさそうで、
「人違いだろ?」と笑いかける。
「オジサンの名前は、神林ではなくて、斎藤です」
探る目付きを先生に向ける。
その名前を耳にしたとたん、
「サイトー?」
突然、先生の表情が変わる。
「サイトーって、どこのサイトー?」
しばらく、思い出そうとしているようだ。
(お願いだ。ウソであってくれ)
宗太郎は思わず、心の中でそう願う。
「N市に住んでいる斎藤です」
神林君の目が、さらに鋭くなった。
(例の件…聞く?)
目で合図を送っているけれど…互いに中々、言い出せない。
まさか…
『先生、おじいさんから、何か聞いていませんか?
何か預かったりしていませんか?』
などと、ストレートに聞くわけにもいかない。
しばらく、考えあぐねていると、
「どうした?何か気になることが、あるんだろ?」
逆に、先生が水を向けてくる。
(本当に、先生は…何も知らないのか?)
あまりにもタイミングよく現れたのは、偶然なのか、どうなのかと、
宗太郎は、危ぶんでいる。
「神林、どうした?何かあったのか?」
先生が、神林君の方に目を向ける。
「実は…オジサンが、ここに来て」
神林君は腹を決めたように、先生にまっすぐ視線を向ける。
「オジサン?」
そんな人がいたのか?
先生の表情は、ウソをついているようには見えない。
「オジサン…先生の友だちだって…」
そう言う彼の目は、鋭く光っている。
「友だち?神林っていう友だちは、いないけど?」
心当たりがなさそうで、
「人違いだろ?」と笑いかける。
「オジサンの名前は、神林ではなくて、斎藤です」
探る目付きを先生に向ける。
その名前を耳にしたとたん、
「サイトー?」
突然、先生の表情が変わる。
「サイトーって、どこのサイトー?」
しばらく、思い出そうとしているようだ。
(お願いだ。ウソであってくれ)
宗太郎は思わず、心の中でそう願う。
「N市に住んでいる斎藤です」
神林君の目が、さらに鋭くなった。
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