296 / 425
第12章
15
しおりを挟む
「あなたたちって、ホント…仲が悪いのねぇ」
まるで犬猿の仲じゃないのよ、と清子はため息をつく。
オジサンは、清子に向かって、意味あり気にウィンクすると、
「そんなことは、ないさぁ~
仲が良すぎるんだろ」
へへへと笑って、空々しいことを言う。
「はぁ?」
何を言っているんだ、と神林君が大きな声を出すので、
「まぁまぁまぁ」
この二人を一緒にしたら、ろくなことにはならないなぁ~
宗太郎は、ひそかにそう思った。
ガランと広いその部屋は…確かに見覚えがあるような気がする。
だけど…何があったのかは、やはり何も覚えてはいない。
「まぁまぁ、覚えていなくても、いいんじゃあないの」
珍しくオジサンは、宗太郎に向かって、なぜか優しい言葉をかける。
「その方が…幸せな場合があるよ」
そんなものなのかなぁ~
宗太郎が、迷っていると、
「そうそう」
なぜか清子が、大きく首を縦に振って、うなづいている。
「そうかなぁ~」
納得できないまま、中をグルリと見回す。
防音の部屋、ということ以外は、特に珍しそうなものは、何もない。
さっき、地下室で見た部屋とは、まったく違うようだ。
「ここでは…じいさんがよくこもって、何かをしていたらしい」
神林君が、ポツリと言う。
「何かって?」
部屋に一つだけある、窓際に近づくと、古びた肘掛け椅子に腰をかけて、
軽く目をつむった。
まるで犬猿の仲じゃないのよ、と清子はため息をつく。
オジサンは、清子に向かって、意味あり気にウィンクすると、
「そんなことは、ないさぁ~
仲が良すぎるんだろ」
へへへと笑って、空々しいことを言う。
「はぁ?」
何を言っているんだ、と神林君が大きな声を出すので、
「まぁまぁまぁ」
この二人を一緒にしたら、ろくなことにはならないなぁ~
宗太郎は、ひそかにそう思った。
ガランと広いその部屋は…確かに見覚えがあるような気がする。
だけど…何があったのかは、やはり何も覚えてはいない。
「まぁまぁ、覚えていなくても、いいんじゃあないの」
珍しくオジサンは、宗太郎に向かって、なぜか優しい言葉をかける。
「その方が…幸せな場合があるよ」
そんなものなのかなぁ~
宗太郎が、迷っていると、
「そうそう」
なぜか清子が、大きく首を縦に振って、うなづいている。
「そうかなぁ~」
納得できないまま、中をグルリと見回す。
防音の部屋、ということ以外は、特に珍しそうなものは、何もない。
さっき、地下室で見た部屋とは、まったく違うようだ。
「ここでは…じいさんがよくこもって、何かをしていたらしい」
神林君が、ポツリと言う。
「何かって?」
部屋に一つだけある、窓際に近づくと、古びた肘掛け椅子に腰をかけて、
軽く目をつむった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ボッチによるクラスの姫討伐作戦
イカタコ
ライト文芸
本田拓人は、転校した学校へ登校した初日に謎のクラスメイト・五十鈴明日香に呼び出される。
「私がクラスの頂点に立つための協力をしてほしい」
明日香が敵視していた豊田姫乃は、クラス内カーストトップの女子で、誰も彼女に逆らうことができない状況となっていた。
転校してきたばかりの拓人にとって、そんな提案を呑めるわけもなく断ろうとするものの、明日香による主人公の知られたくない秘密を暴露すると脅され、仕方なく協力することとなる。
明日香と行動を共にすることになった拓人を見た姫乃は、自分側に取り込もうとするも拓人に断られ、敵視するようになる。
2人の間で板挟みになる拓人は、果たして平穏な学校生活を送ることができるのだろうか?
そして、明日香の目的は遂げられるのだろうか。
ボッチによるクラスの姫討伐作戦が始まる。
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
Black Day Black Days
かの翔吾
ライト文芸
日々積み重ねられる日常。他の誰かから見れば何でもない日常。
何でもない日常の中にも小さな山や谷はある。
濱崎凛から始まる、何でもない一日を少しずつ切り取っただけの、六つの連作短編。
五人の高校生と一人の教師の細やかな苦悩を、青春と言う言葉だけでは片付けたくない。
ミステリー好きの作者が何気なく綴り始めたこの物語の行方は、未だ作者にも見えていません。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
孤高の女王
はゆ
ライト文芸
一条羽菜は何事においても常に一番だった。下なんて見る価値が無いし、存在しないのと同じだと思っていた。
高校に入学し一ヶ月。「名前は一条なのに、万年二位」誰が放ったかわからない台詞が頭から離れない。まさか上に存在しているものがあるなんて、予想だにしていなかった。
失意の中迎えた夏休み。同級生からの電話をきっかけに初めて出来た友人と紡ぐ新たな日常。
* * *
ボイスノベルを楽しめるよう、キャラごとに声を分けています。耳で楽しんでいただけると幸いです。
https://novelba.com/indies/works/937842
別作品、ひなまつりとリンクしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる