となりのソータロー

daisysacky

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第11章

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「子供の頃?」
 子供の頃って…まさか、あの夏のこと?
あれも…ゲームだった、とでもいうのか?
わずかに、宗太郎の頭の中の歯車が…大きくきしんで、動き始めた
ような気がする。
「キミが言う通り…あの時、ボクもあそこにいたんだよ」
むしろ無邪気な顔で、神林君は宗太郎と向かい合う。
「どうしても…あそこに行きたくてねぇ」
神林君の告白に、初めてオジサンが取り乱したように見えた。

「いきなり、何を言うんだ?」
 わずかに声が、揺らいでいるように聞こえる。
その瞬間、神林君は何か確信を持ったように、かすかににぃっと笑う。
「ふぅーん、なるほど」
高校生とは思えないほど、落ち着き払った顔つきで、オジサンに目を
向けると、
「ねぇ、何か話さないと、いけないことがあるんでしょ?」
思わせぶりな態度で、じぃっとオジサンのことを見ている。
「えっ、なに?」
 さっきまで、威丈高な態度だったオジサンだったけれども、急に
オロオロと、落ち着きなく目を泳がせている。
まるで…ジリジリと犯人を追い詰める刑事のように、鋭いまなざしで、
男の前に回り込むようにする。
「やっぱり…オジサンなんでしょ」
 もう、ごまかしは通用しないよ、と言い切る。
「いきなり、何なんだよ」
低い声で、脅すように言うけれども。
先ほどまでの貫禄は、すっかりどこかに消えている。
「ふぅーん」
神林君はすっかり、いつものペースに戻り、再び無表情になると、
「で、オジサンの本当の目的って、なに?」
眉一つ動かすことなく、淡々とそう言った。
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