となりのソータロー

daisysacky

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第11章

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「じいさんは、どこだ?」
 声が聞こえる。
しゃがれた、年配の男性の声だ。
「亡くなりました」
ひるむことなく、リョウが冷静に答えるのが聞こえる。
(知っている人なのか?)
今にも、襲いかかるようだったら…とにかく、体当たりをするしかない。
宗太郎は覚悟を決めて、ジワジワと部屋の入り口に近づいて行った。
(一体、誰と話をしているんだ?)
宗太郎は隠れるようにして、中をのぞき込む。
(親戚のオジサン?
 にしては…何で、ここに?)
今のところは、よくわからないけれど…
清子はまだ、ピリピリと警戒したまなざしで、じぃっとその男のことを、
にらみつけている。
 少しでも、不審な動きがあったら、殴り付けるつもりなのか?
(清子…相変わらず、怖いもの知らずだなぁ)
その時ふと…宗太郎の脳裏に、怒りながら宗太郎のことを、追いかける
女の子の姿が、浮かんできた。

(清子?)
 おそらくそれは…昔の記憶の断片だ。
一体、どういう状況なのかは、わからないけれど、
清子はいつでも、何かに真っ向から立ち向かっていた…
ということだけは、宗太郎にもわかった。
 今の清子も、あの頃の清子と同じだ。
真剣に、神林君のことを、守ろうとしているのだ。
(あの時…何があったんだ?
 この男は、何か関係があるのか?)
清子の横顔を見ながら、そんなことを思っていると…
ふいに男の顔が、こちらを向いた。
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