となりのソータロー

第4章

１８

「そうなのか？」
　どこか不自然だ…と感じた自分のカンは、あながち間違ってはいない…
そう、先生は思っている。
「本当に、そうなのか？
　困ったことは、ないのか？」
さて、この状況で…どうやって、切り出そうか…と、宗太郎は迷う。
「あの…先生」
宗太郎は、迷いながらも切り出す。
「あの転校生のこと、なんですけど…」
切り出してはいるものの、何と話せばいいのか、まだ宗太郎の中では
定まってはいないのだ。

　何だか、ドキドキする。
こんなこと…誰かに聞かれたりは、しないだろうか？
「どうした？」
高梨先生は、じぃっと宗太郎のことを見ている。
焦らないようにして、宗太郎のタイミングにまかせよう…と、先生は
考えているのだ。
「何か、あったのか？」
あの厳しいまなざしが、心配そうにまたたいている。
「いや、大したことではないんです」
何か言いかけていたけれど…
やはり、止めよう…と、引っ込めようとするけれど。
だが先生は、じぃっと宗太郎のことを見つめ、無言で先をうながしている。
「あのぉ～」
「うん」
「神林くんを…森の中で、見掛けたんです」
うまい言葉が見つからず、結局は素直にそう告げる。
「森？」
いきなり、何を言い出すんだ？
先生の目が丸くなる。
「あっ、あの…いつも一人でいて、お昼にも教室にいなくて、ボクは
　気になって…」
これでは先生には、チンプンカンプンだろう。
宗太郎自身も、頭の中がグチャグチャに混乱している。
先生は戸惑いながらも、辛抱強く、じぃっと宗太郎の目を見ている。
「あのままだと…教室で浮いてしまうし、誰とも仲良くなれないし…」
思い付くままに、宗太郎は言葉を並べる。
「だから…アイツがどこに住んでいるのか、教えて欲しいんです」