となりのソータロー

daisysacky

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第3章

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「あれを見たら、きっと、ソータローも思い出すわよ」
 楽しそうに、清子は言う。
そんなに簡単なものじゃない…
そう思うのに。
「わかったよ」
しかたなく、宗太郎はうなづいて、清子に続く。
「ほら、あそこよ!」
御世辞にも、道とはいえないような茂みを抜けると、
まもなくガケのような所へ出て来る。
「ここって…」
思わず宗太郎は、立ち止まる。

 ただの森の中だ…とばかり思っていたけれど、ポツンと古びた屋根が、
チラリと顔をのぞかせている。
「ね、見覚えはない?」
さらに清子は聞く。
「えっ…」
だがそれは、あまり定かではない。
黙ったままの宗太郎を見あげると、
「さぁさぁ、早く」
ポンと宗太郎の背中を押す。

(えっ)
 行くのか?
トントントントン…と、リズムをつけて、清子は宗太郎の背中を押す。
「ちょっとぉ」
何だか自分の身体が、そこに近づくのを嫌がっている。
それがどういう意味なのか、宗太郎にはわからない。
だけども、とにかくイヤだ、と足が吸い付くように、ピタリと止まる。
「怖いの?」
清子は、宗太郎の顔をのぞき込む。
「あそこは…オバケヤシキ…と、みんなが呼んでた。
 昔は、一人暮らしのおじいさんが、住んでいたそうよ」
清子の言葉に、ようやく宗太郎の足の戒めがとけたように、一歩前に
足が動いた。
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