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第1章
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「わかったわよ、ソウちゃん!」
わざと大きな声でそう言うと、清子はニヤリと笑う。
ポンとソータローの肩を叩く。
「なんだよぉ」
宗太郎はブスッとした顔になるけれど…
これでまた、清子に会えるのだ…と思うと、何だかそれはそれで
楽しみになってきた。
「じゃあ、連絡先を交換しましょ」
「何でそうなるんだよぉ」
つい不愛想な声を出してしまう。
「だって…いちいち実家で取り次いでもらうのって、面倒でしょ?」
至極自然に、清子がそう言うので
「それもそうだ」
思わず納得して、宗太郎はうなづく。
あいつの家の番号って…まだ変わっていないのだろうか?
チラリと宗太郎は、そんなことを考える。
「また、メッセージを送るから…未読スルー、しないでよ」
さっさとID交換を済ますと、清子はカバンを手に取る。
「清子の家って、やっぱりあそこなの?」
子供の頃に、通ったあの家だ。
「そうよ!ソータローの家の真向かい」
「そうなんだ」
「じゃ、おじいさんに、挨拶に行こうかな」
「いいんじゃないか?
じいさんは、清子のこと、今でも気に入っているからなぁ」
宗太郎が、あの家に来てから、ことあるごとに、清子のことを聞くのだ。
どんどん、昔に戻って行くような気がする。
小学校の頃のこと。
母さんが離婚して、出て行くまでのこと…
いつの間にか、まんまと清子のペースに乗せられているような気がする。
(そういえば…アイツのことを、すっかり忘れている)
さっき見かけた、学生服の男のことも、気になるけれど…
それはまた、出直すことにしよう…
宗太郎は、そう思い直した。
わざと大きな声でそう言うと、清子はニヤリと笑う。
ポンとソータローの肩を叩く。
「なんだよぉ」
宗太郎はブスッとした顔になるけれど…
これでまた、清子に会えるのだ…と思うと、何だかそれはそれで
楽しみになってきた。
「じゃあ、連絡先を交換しましょ」
「何でそうなるんだよぉ」
つい不愛想な声を出してしまう。
「だって…いちいち実家で取り次いでもらうのって、面倒でしょ?」
至極自然に、清子がそう言うので
「それもそうだ」
思わず納得して、宗太郎はうなづく。
あいつの家の番号って…まだ変わっていないのだろうか?
チラリと宗太郎は、そんなことを考える。
「また、メッセージを送るから…未読スルー、しないでよ」
さっさとID交換を済ますと、清子はカバンを手に取る。
「清子の家って、やっぱりあそこなの?」
子供の頃に、通ったあの家だ。
「そうよ!ソータローの家の真向かい」
「そうなんだ」
「じゃ、おじいさんに、挨拶に行こうかな」
「いいんじゃないか?
じいさんは、清子のこと、今でも気に入っているからなぁ」
宗太郎が、あの家に来てから、ことあるごとに、清子のことを聞くのだ。
どんどん、昔に戻って行くような気がする。
小学校の頃のこと。
母さんが離婚して、出て行くまでのこと…
いつの間にか、まんまと清子のペースに乗せられているような気がする。
(そういえば…アイツのことを、すっかり忘れている)
さっき見かけた、学生服の男のことも、気になるけれど…
それはまた、出直すことにしよう…
宗太郎は、そう思い直した。
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