となりのソータロー

daisysacky

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第1章

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(まさか…こんな所には、いないだろうな?)
 ソータローは、神社につながる道を見つめる。
以前、ばあちゃんが入院した時に、ここでお参りをして、よくなった…
という(偶然だろうが)そんなことがあった。
 物は試しだ!
思い切って、その細い道を入って行く。
こんなトコ、誰もいないだろ?
そう思いきや…まさか、人の気配を感じる。

 えっ?
ソータローは思わず、身体を固くする。
それは、ソータローのすぐ脇を、フワリと通り過ぎたように思えた。
だが…ビビッている場合ではない。
「時間がない」
 急がないと、本当に、いなくなってしまう…
ソータローは自転車を木の側に止めると、上の方にちらりと見えている
神社を見上げる。
「あれ?」
 やはり…よくは見えなかったけれど、一瞬学生服らしきものが、
見えたような気がした。

「まさか…な」
 なるべく冷静になろう…
ソータローは、大きく深呼吸をする。
(ユウレイ?…じゃないよな)
 我ながら、何と肝の小さいことだろう…
そう思うけれども、それでも自分を励まして、ゆっくりと石の階段に
足を乗せる。
 学生服が見えたのは…石段を登り切った辺りだ。
(気のせいだろ?)
 それとも、誰か…お参りをしているのか?
おそるおそるソータローは、上って行く。
すると…生暖かい風が、ソータローの頬を撫でる。
それだけで、冷や汗が背中を伝っていく。
ソータローは、すでに、ここに来たことを後悔していた。

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