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気持ち悪い①

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「ヒール!」

マーティン先生がシロイの手に治癒魔法を急いで唱える。
瞬時に傷口は塞がり痛みも無くなった。

回復魔法は高等魔術とされ、使用できる人は少ないらしい。

「取り敢えず傷は塞がったわね」

「は、はい。ありがとうございます」

マーティン先生は疲れ切った顔で椅子に倒れ込んだ。
回復魔法は相当魔力を使うようだ。

「傷は塞がったけど、無くなった血は戻らないから暫く医務室で休んでなさい」

「は、はい!」

心なしか頭がクラクラすら。
そういえば医務室って何処だろう。
まぁ、誰かに聞けばいいか。


「全く...昨日からよく問題が起こるわね。」

教室を出る時には、マーティン先生の独り言が聞こえた。
どうやら昨日も何か事件があったらしい。
先生はいろいろ大変だな。

フレイを一瞬見るが机に突っ伏している状態だった。
僕がこんな時に居眠りか!


取り敢えず医務室へ向かおう。
なんか疲れたしゆっくり休みたい。


だが、暫く長い廊下を歩くが人とすれ違うことはない。

それもその筈、今は授業中なのだ。


参ったな、と思いながらふと窓の外を見ると数人の騎士と司祭の様な人が庭園を歩いていた。

騎士は司祭の護衛の様でしっかりと周りを囲っている。
よく見えないが司祭は高齢の女性のようだ。
あんな強そうな護衛が付いているって事はあの司祭様は凄く偉い人なのかもしれない。

興味本意で眺めていると真ん中の司祭がいきなりこちらに目線を向けたのだ。

何故か分からないが僕は体を低くしてその人から隠れてしまった。

身体は何故か震えが止まらない。


「あの人気持ち悪い...」



どれくらい経っただろう、体の震えは止まっていた。

ゆっくりと窓の外を見るが人の姿は見えなくなっていた。

シロイは安堵しながら再び医務室を目指した。
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