忘却の少年は、幸せを求めるが幸せにはなれない

麻呂マロン

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決闘①

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「元よ、元。」

しかし、それはフレイによって即否定されたのだ。

どうやら既にフレイには振られているらしい。

「君の事を毎日想っているんだ。この休みの間も5回も君に会いに行ったんだよ」

これがストーカーというやつか。

「しかも何故手紙にも返事をしてくれないんだ!」

返事も貰えなかったらしい。
フレイはゴミを見る目で男を見ていた。

「しかもなんだ!このじじいみたいな白髪頭の奴は!!今日一緒に登校していただろ!」

しっかり見られていた。

けれど、ジジイはやめて欲しい。
気にしていた事なのでかなり傷付くのだ。

正確な年齢は分からないが、きっと皆と同じ位の年の筈だ。

「僕はシロイです。一緒に登校したのは、このクラスを案内して貰っていただけです。」

ここは先手必勝。
自分から挨拶をして友好関係を築く事にしよう。
こんな奴でも今日から同じクラスになるのだ。

「へ~、で、何故フレイが君を案内するんだ?」

明らかに男の怒りが少し収まっている。
この様子なら大丈夫だろう。

「それは今知り合いがフレイしかいないからです。休みが終わるまでフレイの家で居候させて貰ってたんで。」

「居候だと、、?」

気づいた時には既に遅し。

この余計な一言で彼を更に怒らせてしまったようだ。

僕の言葉で男だけではなく、クラス中の生徒もざわめき出す。

横目で見るフレイも深く頭を抱えている。

嗚呼、そうか。
未婚の男と女が同じ屋根の下一緒に暮らしているのは世間体的に良くないのか。

勿論翡翠さんも居るので2人ではないが。


「フレイは君みたいな雑魚と一緒にいたらいけないんだよ、、、。
僕みたいな強く守れる存在じゃないとッ。」


ブルブルと体を震わせ怒りを抱いているのが分かる。
それ程にもフレイを想っているのか。
というか、彼は絶対大きな勘違いをしている。

「まっ、」
「決闘だっ!」

事情を説明しよう声をあげたが、その声は届かなかった。
おまけに手袋も顔面に投げられる始末だ。

その手袋からは少し牛乳の匂いがした。

そう、昔から手袋を投げる=決闘という合図だと図書館で借りた本で読んだ。

まじか。
これ絶対フレイを賭けてとかのお約束展開のやつだ。

というか、魔法も使えない僕がどう戦えと?

負け確定演出じゃん、こんなの。


「放課後、第2練習場だ、必ず来い」

おまけに場所の指定までされてしまった。





何処だよ。第2練習場って。



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