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メルディーナへようこそ③
しおりを挟む現在、僕とフレイは大きな建造物の目の前に立っている。
そう、此処が目的の場所「メルディーナ学園」だ。
白い塀に周りを囲まれ、高さ十メートル程ある門には、重そうな銀の鎧を纏う門番二人が姿勢良く立っている。
「こんな所で突っ立て邪魔よ」
「あ、すみません。」
学園の規模に呆然と立ち尽くしてしまい、通行の邪魔になってしまったようだ。
瞬時に謝罪すると、三人組の女子グループはそのまま「チッ」と舌打ちし学園へと入っていった。女子って恐ろしい。
「そんなとこでぼさっとしてるからよ、いくわよ」
いきなり首根っこを掴まれ、フレイに引きづられながら僕は初めて学園の門を潜った。
連行された場所は、芝生が広がり日当たりがいい庭園。ベンチがいくつも置かれており、フレイはその内の一つに勢いよく腰を下ろした。
「始業式まで時間あるし先にお昼食べるわよ」
「ぼ、僕はまだお腹空いてないからいいや。」
(さっき汽車であんなにお菓子食べていたのに、まだ食べるのか)
「そう、じゃあ私が食べてる間校内でも見て回ったら?あ、迷子にはならないでよ」
「ならないよ...」
「じゃあ、三十分後また此処に集合ね。」
話し終えたフレイは翡翠さんが作ってくれていたお弁当を食べ始める。
取り敢えず僕もフレイの提案通り校内を見て回る事にした。
庭園を抜けると、直ぐに大きな建造物が姿を現した。四階建てになっており、外からはガラス越しに校内を歩く生徒も確認出来る。
(何処から入るんだろう...)
左右を見渡すが見える範囲に出入口は見当たらない。
(まぁ、壁に沿って歩けば見つかるか...)
そんな考えで、歩き始めて五分程経って漸く中に通じるであろう小さな扉を見つけた。大きさ的に正規の入口ではなく裏口のようだ。
(どう見ても生徒が使っている出入口じゃないよな...)
俗に言う「関係者以外立入禁止」のようだ。
学園の教職員達専用の扉の可能性もある。もし、そうだった場合見つかった時に注意を受ける可能性がある。
初日からそのような悪目立ちは遠慮したい。
(まぁ、そうなったらフレイがなんとかしてくれるだろう。)
全てフレイに擦りつければいいのだ。
(探すのも面倒だし)
だが、ドアノブに手を伸ばした瞬間「パリン」と音を最後に、シロイの意識はブラックアウトした。
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