忘却の少年は、幸せを求めるが幸せにはなれない

麻呂マロン

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メルディーナへようこそ①

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時間というのは流れるのがあっという間で、リオラは頭上に乗せていた2人分の荷物を降ろし始めた。

どうやら下車の時間が近いようだ。

「メルディーナ」は、どの駅で降りるか分からないが、間近になったらフレイが教えてくれるだろう。




ーー間もなくマッセーナ、マッセーナ

お降りの方は、お足元にお気を付けください。


流れる音声と共に、リオラは個室の扉へと手を掛ける。

「それじゃシロイにフレイ、今日はとても楽しかったよ。ありがとう」

「シロイ...それとフレイ。ありがとう。」


リリーにとっては、フレイはついで扱いらしい。可哀想に。


「僕こそ初めての友人が、リオラとリリーで良かったよ。」



「うん、そう言って貰えて凄く嬉しいよ」


リオラの表情は本当に喜んでいる様に見えるので、お世辞を言っている訳ではなさそうだ。


「それじゃ、また。」


そして、その掛け声を最後にリオラとリリーは個室を出て行ってしまった。


別れとは寂しいものだ。
折角友人が出来たと思ったのに。

二人がいなくなってしまった為、個室は再び静寂に包まれる。

静寂といっても、レールを走る汽車の音やら付近で談笑する声は聞こえているのだが。


「こんな所で友達が出来るなんて思ってもなかったよ。」


家にも招待されてしまったし、土産は何を持って行こうか。
まぁ、当分先になるが今から楽しみだ。


「そういえば、フレイは二人のことが嫌だったの?」


途中から気になっていた事。
何故か二人に対して、あまり良い態度ではなかった。
それを知ってか、リオラも自分からフレイに話し掛ける事は最後までしなかった。 



「嫌、とかじゃない。一族あいつらはやばいのよ。」


やばい、とは、何がだろうか。
特に話していて何か感じた事はなかったが。


「...どういう事?」



聞き返すが、答えは返ってこない。
そして、流れ行く景色を眺め続けるフレイの心情も読む事は出来ない。


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