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おまけのSS
Happy Valentine
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【蜜が社会人になってからの小話】
2月14日。
今日はバレンタインだ。
普段より早く帰ることが出来た周防は、蜜と甘い夜を過ごそうと早足で自宅へと向かっていた。
お互い忙しい日が続いていたし、すれ違いの続く中、やっとゆっくりと過ごすことが出来る。
しなやかで若い蜜の肌を思い出して一層足が速くなる。スキップ交じりで自宅の前にさしかかると一台の車が横付けされたいた。
『趣味はグランピング。自然の中で火を見つめていると自分の小ささが分かりますね』とか言い出しそうな流行りのSUV。きっとしゃらくさい奴が乗っているに違いない。
横目で通り過ぎようとした瞬間、助手席から現れたのは蜜だった。
(は? え?! 何事?!)
慌てて後戻り、柱の陰に隠れた。
見間違いかと思ったけれど、蜜を間違うはずがない。
そっと顔を出してみると、やっぱり蜜が車のそばに立っていた。運転席からは「趣味はグランピング……」と言いそうな男が出てくる。
「ここでいいの?」とちょっと高めの男の声が聞こえてくる。
「部屋まで運んであげるけど」
見覚えがある。
確か、蜜の勤務先にいる男だ。
何度か言葉を交わしたことがあるはずだけど名前が出てこない。なんだっけ。
蜜はニコリと笑うと「大丈夫です」と返事を返している。
天使のような清らかな笑顔に心がわしづかみにされる。何年たっても蜜の愛らしさに釘づけだ。
それは蜜の前にいる男も同じようで、うっとりとした表情で蜜を見つめている。
「でも、重たいでしょ」
男は車の後ろから大きな段ボールを取り出すと、蜜に向かい合って笑った。甘い。濃厚で甘いとろけるような笑みがここまで届く。
「重いってば重いけど……持てるので大丈夫です。ありがたくちょうだいします」
「そ? じゃあ、」と言いながら蜜にダンボールを手渡す隙に手が触れるのが見えた。
(おいおいおいーーー!)
周防は今にも飛び出さんばかりに足を踏み鳴らした。
とはいえ、こんなところに隠れているのが見つかるのも恥ずかしい。音を立てずに地団太を踏む。
「はい」
と渡した瞬間、何かが箱から落ちそうになった。おっと、と拾おうとした二人の距離が一気に縮まる。
男は蜜の顔に自分の顔を近づけるとそのまま傾けた。
キス。をしそうな、距離。
「ちょっと待ったああ!」
慌てて飛び出した周防に男も蜜もびっくりしたように振り向いた。
「え、先生?」
驚く蜜の目が大きく見開く。
二人の手の間にあった段ボールにはなにやら包装された包みがたくさん入っていた。それを見て「バレンタイン?」と気がつく。
「チョコかそれ」
「あ、はい、……そう、デス」と恥ずかしそうな蜜の声。
「佐藤くん、今年はすごいチョコの数になってしまって。運べるような量じゃないから車で送ってきたんです」
ね、と目を合わせて蜜が頷く。
「五島さんすごく親切にしてくださって。ありがとうございます」
「いや、これくらいいつでも言って」
まるで彼氏面で五島は蜜の肩に手をかけた。
「そういう周防先生はいまお帰りですか? ご自宅この辺だったんですね」
五島に言われて言葉に詰まる。
蜜とは同じ指輪をつけているし、パートナーがいることはお互い伝えてはいるけど、その相手が誰と言うことは秘密のままだ。
いくら世の中が変わってきたと言っても、さすがに同性同士の事実婚で元教師と生徒とは言い出せなかった。
「そう、この辺で。ちょうど通りかかったらなにやら揉めているのかなって」
慌てて口から出まかせを言う。
蜜も「ああ」というように頷いた。
「お疲れ様です」
五島はそれを素直に受け取り、「遅くまで大変ですねえ」とのんきに答えた。
そうだよ、お疲れなんだよ。
これから蜜と甘い夜を過ごす予定なんだから早く帰ってくれよ。
頭の中で乱発される暴言を全部飲み込んでニコリと笑う。
「そういう五島くんもこんな時間までお疲れ様」
だけど五島はソワソワと蜜を見つめるだけで帰ろうとはしない。硬直した空気が流れる。
破ったのは五島だった。
「やっぱ部屋まで運ぶよ」
蜜に渡しかけた段ボールをもう一度自分で持ち上げ五島は先を促した。
「もし佐藤くんがよければ、お茶の一杯でも飲ませてくれるかな」
それは蜜の部屋に入り込んで、このままバレンタインの夜を一緒に過ごしたいということで。
指輪の存在もその先にみえる相手も関係ないという宣戦布告のようなものだった。
「それとも彼女さんが家にいる?」
聞かれて蜜は「彼女……?」とぼんやりと答えた。
そりゃ家にいるのは彼女じゃないし、彼氏はすぐそこにいるし、一瞬疑問に思うのは仕方ない。でもしっかりしてくれ! と周防は蜜の肩を掴んでガクガクと揺すりたい気分だった。
伝わったのか、はっとしたように瞬きをして「あ、はい、それはちょっと」と言葉を濁す。彼氏がじっと睨んでいるのに気がついたらしい。
「ごめんなさい、せっかく送ってもらったんですけど、すみません」
謝ると五島はわかっているとばかりに頷いた。
「だよね、バレンタインの夜に不躾だったね。ごめん」
「いえ、本当に助かりました。ありがとうございます」
蜜は今度こそしっかりと段ボールを受け取ると、ペコリと頭を下げてエントランスに消えていった。一緒に入るわけにもいかず周防も一緒に見送った。
五島と二人で残されると困ったような笑顔にぶつかった。
「やっぱガード固いですよね」
頭をガシガシっとかきながら周防に向き合う。
「周防先生って昔からの付き合いなんですよね。佐藤くんって前からあんな感じですか?」
「あー、うん、どうかな。俺が知ってる佐藤はあんな感じだったけど」
先生の顔を作って答えた。
昔から蜜は可愛かったし特別だった。お前の知らない成長をずっと見守ってきてんだよ。
「そっか。残念……佐藤くんっていいなあって思うけどやっぱ彼女さん大事にしてるんですよね。つけ入るスキがない」
「そうだろうね」
大事にされていることは周防が一番知っている。
にやけそうになるのをこらえて何でもないような顔を作った。
「仕方ない。帰ります。先生まだ家が遠いなら送っていきますけど」
「や、大丈夫、すぐだから」
「そうですか、じゃあお疲れさまでした」
そういって五島は車に乗り込み素直に帰っていった。
なんだいい奴じゃんと少しだけ見直す。
遠くにテールランプが消えるのを見届けて周防は自宅へと戻った。
玄関を開けると蜜はそこで待っていて、周防に飛びついてくる。
「先生!」
「待ってたの?」
抱きしめて受け止めると、蜜は抱っこされたままコクリと頷いた。
「なんか変な感じになっちゃったなって。でもなにもないです。送ってもらっただけです」
「わかってるよ」
一瞬キスされるのかと危うい場面もあったけど。
ほっといたらサラっと唇が奪われていたんじゃないかって思わないでもないけど、蜜の潔白に変わりはない。
「それすごいな」
玄関先に置かれた段ボールを見ながら言うと、蜜は困ったように笑みを浮かべた。
「バレンタインにって来館された方が。去年までは断っていたんですけど今年は郵送だったり窓口に置いてあったり色々で。だったらちゃんと受けとったほうが混乱がないからって」
蜜の勤める図書館は外部の来館者も多い。
きゃーっと騒ぐ女の子の姿も何度も見かけた。綺麗なだけじゃなく凛とした蜜の姿に心を奪われる人間は年々増えていく。
周防から見ても蜜の魅力は増すばかりだ。
「先生一緒に食べてくれますか?」
だけど周防しか目に入らないとばかりに蜜は鼻をすり寄せてきた。目を閉じて受け止めるとふわりと蜜の香りがかすめていく。
聞かれてもちろんと答えた。
「食べていいの?」
「っていうか食べてください。ぼくだけじゃ絶対食べきれない」
「じゃあありがたく」
周防の知らない場所で蜜に好意を抱きそれを伝える人も多いという。
だけど蜜はわき目を振らず一心に周防だけを想ってくれる。そのことに疑いはないからいつでも周防は安心していられる。
「蜜からのチョコはないの?」
聞けば耳を染めて「あります」と言う。
「明日は休館日なんです、だから今夜は」
それは蜜が甘いチョコになってくれるということで。
解釈を間違えてないよな、と深いキスを送ればさらに求めてくる。何度も交わしながらベッドルームにもつれ込み、抱き合いながらさらに深い行為へと進んだ。
「先生はチョコすごかったですか?」
「ん-ん。男子校だしね」
「そっか」
安心したように笑みを浮かべる蜜の腰を浮かせた。
自らの腹の上に跨がせて、ゆっくりと沈めていく。
「ん、あっ、」
自らの重みでずぶずぶと周防を受け入れていくとろける部分を堪能した。何度か上下させながらおさまる部分を探す。
たくさん送られたチョコより蜜は周防を選ぶ。
まっすぐに迷いもなく。
それは周防を酔わせ幸福へと導いてくれる。
「自分で動いてみて」
しなやかなウエストを押えながら促すと、蜜は恥ずかしりながらも上下に腰を動かし始めた。互いの間で繋がる茎が出入りするのをじっと見つめる。健気に開く蜜の蕾は太く昂ぶった周防を飲み込み締め付ける。
「ん、チョコより、蜜の方が……甘くておいしい」
「んあ、あ、あ……っ」
周防の声に応えるように蜜が啼く。
あの段ボールがこの部屋にあったらきっと二人の熱に溶かされてしまいそうなほど熱い夜。
きつく抱きしめながら、好きだ、と繰り返した。
特別な日も日常も。いつも、これからもずっと、蜜が好きだ。
どんなに思いを寄せても高級なチョコを用意しても蜜は俺だけのものだ。
大人げない思いを抱えている周防に気がつかない蜜は、恍惚とした表情を浮かべひたすらに周防を愛し続ける。
「好き」
「ん、俺も。蜜愛してるよ」
何年たっても二人の甘い日々は変わらずに続いていく。
fin
おわり。
またお会いしましょう!
2月14日。
今日はバレンタインだ。
普段より早く帰ることが出来た周防は、蜜と甘い夜を過ごそうと早足で自宅へと向かっていた。
お互い忙しい日が続いていたし、すれ違いの続く中、やっとゆっくりと過ごすことが出来る。
しなやかで若い蜜の肌を思い出して一層足が速くなる。スキップ交じりで自宅の前にさしかかると一台の車が横付けされたいた。
『趣味はグランピング。自然の中で火を見つめていると自分の小ささが分かりますね』とか言い出しそうな流行りのSUV。きっとしゃらくさい奴が乗っているに違いない。
横目で通り過ぎようとした瞬間、助手席から現れたのは蜜だった。
(は? え?! 何事?!)
慌てて後戻り、柱の陰に隠れた。
見間違いかと思ったけれど、蜜を間違うはずがない。
そっと顔を出してみると、やっぱり蜜が車のそばに立っていた。運転席からは「趣味はグランピング……」と言いそうな男が出てくる。
「ここでいいの?」とちょっと高めの男の声が聞こえてくる。
「部屋まで運んであげるけど」
見覚えがある。
確か、蜜の勤務先にいる男だ。
何度か言葉を交わしたことがあるはずだけど名前が出てこない。なんだっけ。
蜜はニコリと笑うと「大丈夫です」と返事を返している。
天使のような清らかな笑顔に心がわしづかみにされる。何年たっても蜜の愛らしさに釘づけだ。
それは蜜の前にいる男も同じようで、うっとりとした表情で蜜を見つめている。
「でも、重たいでしょ」
男は車の後ろから大きな段ボールを取り出すと、蜜に向かい合って笑った。甘い。濃厚で甘いとろけるような笑みがここまで届く。
「重いってば重いけど……持てるので大丈夫です。ありがたくちょうだいします」
「そ? じゃあ、」と言いながら蜜にダンボールを手渡す隙に手が触れるのが見えた。
(おいおいおいーーー!)
周防は今にも飛び出さんばかりに足を踏み鳴らした。
とはいえ、こんなところに隠れているのが見つかるのも恥ずかしい。音を立てずに地団太を踏む。
「はい」
と渡した瞬間、何かが箱から落ちそうになった。おっと、と拾おうとした二人の距離が一気に縮まる。
男は蜜の顔に自分の顔を近づけるとそのまま傾けた。
キス。をしそうな、距離。
「ちょっと待ったああ!」
慌てて飛び出した周防に男も蜜もびっくりしたように振り向いた。
「え、先生?」
驚く蜜の目が大きく見開く。
二人の手の間にあった段ボールにはなにやら包装された包みがたくさん入っていた。それを見て「バレンタイン?」と気がつく。
「チョコかそれ」
「あ、はい、……そう、デス」と恥ずかしそうな蜜の声。
「佐藤くん、今年はすごいチョコの数になってしまって。運べるような量じゃないから車で送ってきたんです」
ね、と目を合わせて蜜が頷く。
「五島さんすごく親切にしてくださって。ありがとうございます」
「いや、これくらいいつでも言って」
まるで彼氏面で五島は蜜の肩に手をかけた。
「そういう周防先生はいまお帰りですか? ご自宅この辺だったんですね」
五島に言われて言葉に詰まる。
蜜とは同じ指輪をつけているし、パートナーがいることはお互い伝えてはいるけど、その相手が誰と言うことは秘密のままだ。
いくら世の中が変わってきたと言っても、さすがに同性同士の事実婚で元教師と生徒とは言い出せなかった。
「そう、この辺で。ちょうど通りかかったらなにやら揉めているのかなって」
慌てて口から出まかせを言う。
蜜も「ああ」というように頷いた。
「お疲れ様です」
五島はそれを素直に受け取り、「遅くまで大変ですねえ」とのんきに答えた。
そうだよ、お疲れなんだよ。
これから蜜と甘い夜を過ごす予定なんだから早く帰ってくれよ。
頭の中で乱発される暴言を全部飲み込んでニコリと笑う。
「そういう五島くんもこんな時間までお疲れ様」
だけど五島はソワソワと蜜を見つめるだけで帰ろうとはしない。硬直した空気が流れる。
破ったのは五島だった。
「やっぱ部屋まで運ぶよ」
蜜に渡しかけた段ボールをもう一度自分で持ち上げ五島は先を促した。
「もし佐藤くんがよければ、お茶の一杯でも飲ませてくれるかな」
それは蜜の部屋に入り込んで、このままバレンタインの夜を一緒に過ごしたいということで。
指輪の存在もその先にみえる相手も関係ないという宣戦布告のようなものだった。
「それとも彼女さんが家にいる?」
聞かれて蜜は「彼女……?」とぼんやりと答えた。
そりゃ家にいるのは彼女じゃないし、彼氏はすぐそこにいるし、一瞬疑問に思うのは仕方ない。でもしっかりしてくれ! と周防は蜜の肩を掴んでガクガクと揺すりたい気分だった。
伝わったのか、はっとしたように瞬きをして「あ、はい、それはちょっと」と言葉を濁す。彼氏がじっと睨んでいるのに気がついたらしい。
「ごめんなさい、せっかく送ってもらったんですけど、すみません」
謝ると五島はわかっているとばかりに頷いた。
「だよね、バレンタインの夜に不躾だったね。ごめん」
「いえ、本当に助かりました。ありがとうございます」
蜜は今度こそしっかりと段ボールを受け取ると、ペコリと頭を下げてエントランスに消えていった。一緒に入るわけにもいかず周防も一緒に見送った。
五島と二人で残されると困ったような笑顔にぶつかった。
「やっぱガード固いですよね」
頭をガシガシっとかきながら周防に向き合う。
「周防先生って昔からの付き合いなんですよね。佐藤くんって前からあんな感じですか?」
「あー、うん、どうかな。俺が知ってる佐藤はあんな感じだったけど」
先生の顔を作って答えた。
昔から蜜は可愛かったし特別だった。お前の知らない成長をずっと見守ってきてんだよ。
「そっか。残念……佐藤くんっていいなあって思うけどやっぱ彼女さん大事にしてるんですよね。つけ入るスキがない」
「そうだろうね」
大事にされていることは周防が一番知っている。
にやけそうになるのをこらえて何でもないような顔を作った。
「仕方ない。帰ります。先生まだ家が遠いなら送っていきますけど」
「や、大丈夫、すぐだから」
「そうですか、じゃあお疲れさまでした」
そういって五島は車に乗り込み素直に帰っていった。
なんだいい奴じゃんと少しだけ見直す。
遠くにテールランプが消えるのを見届けて周防は自宅へと戻った。
玄関を開けると蜜はそこで待っていて、周防に飛びついてくる。
「先生!」
「待ってたの?」
抱きしめて受け止めると、蜜は抱っこされたままコクリと頷いた。
「なんか変な感じになっちゃったなって。でもなにもないです。送ってもらっただけです」
「わかってるよ」
一瞬キスされるのかと危うい場面もあったけど。
ほっといたらサラっと唇が奪われていたんじゃないかって思わないでもないけど、蜜の潔白に変わりはない。
「それすごいな」
玄関先に置かれた段ボールを見ながら言うと、蜜は困ったように笑みを浮かべた。
「バレンタインにって来館された方が。去年までは断っていたんですけど今年は郵送だったり窓口に置いてあったり色々で。だったらちゃんと受けとったほうが混乱がないからって」
蜜の勤める図書館は外部の来館者も多い。
きゃーっと騒ぐ女の子の姿も何度も見かけた。綺麗なだけじゃなく凛とした蜜の姿に心を奪われる人間は年々増えていく。
周防から見ても蜜の魅力は増すばかりだ。
「先生一緒に食べてくれますか?」
だけど周防しか目に入らないとばかりに蜜は鼻をすり寄せてきた。目を閉じて受け止めるとふわりと蜜の香りがかすめていく。
聞かれてもちろんと答えた。
「食べていいの?」
「っていうか食べてください。ぼくだけじゃ絶対食べきれない」
「じゃあありがたく」
周防の知らない場所で蜜に好意を抱きそれを伝える人も多いという。
だけど蜜はわき目を振らず一心に周防だけを想ってくれる。そのことに疑いはないからいつでも周防は安心していられる。
「蜜からのチョコはないの?」
聞けば耳を染めて「あります」と言う。
「明日は休館日なんです、だから今夜は」
それは蜜が甘いチョコになってくれるということで。
解釈を間違えてないよな、と深いキスを送ればさらに求めてくる。何度も交わしながらベッドルームにもつれ込み、抱き合いながらさらに深い行為へと進んだ。
「先生はチョコすごかったですか?」
「ん-ん。男子校だしね」
「そっか」
安心したように笑みを浮かべる蜜の腰を浮かせた。
自らの腹の上に跨がせて、ゆっくりと沈めていく。
「ん、あっ、」
自らの重みでずぶずぶと周防を受け入れていくとろける部分を堪能した。何度か上下させながらおさまる部分を探す。
たくさん送られたチョコより蜜は周防を選ぶ。
まっすぐに迷いもなく。
それは周防を酔わせ幸福へと導いてくれる。
「自分で動いてみて」
しなやかなウエストを押えながら促すと、蜜は恥ずかしりながらも上下に腰を動かし始めた。互いの間で繋がる茎が出入りするのをじっと見つめる。健気に開く蜜の蕾は太く昂ぶった周防を飲み込み締め付ける。
「ん、チョコより、蜜の方が……甘くておいしい」
「んあ、あ、あ……っ」
周防の声に応えるように蜜が啼く。
あの段ボールがこの部屋にあったらきっと二人の熱に溶かされてしまいそうなほど熱い夜。
きつく抱きしめながら、好きだ、と繰り返した。
特別な日も日常も。いつも、これからもずっと、蜜が好きだ。
どんなに思いを寄せても高級なチョコを用意しても蜜は俺だけのものだ。
大人げない思いを抱えている周防に気がつかない蜜は、恍惚とした表情を浮かべひたすらに周防を愛し続ける。
「好き」
「ん、俺も。蜜愛してるよ」
何年たっても二人の甘い日々は変わらずに続いていく。
fin
おわり。
またお会いしましょう!
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