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第三章 sugar sugar honey
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3列のシートにはそれぞれのカップルごとに座っていて、隣に座るリサは鼻歌を奏でながら一人運転中だ。
「運転大変じゃないですか?」
「え~全然。隣に蜜くんみたいかっこいい男子高校生がいるんだからはりきっちゃうよねえ~」
リサは嬉しそうに蜜を見た。
「こんなきれいな男の子とドライブなんてラッキー」
もしかしてシングルだと勘違いして、リサとくっつけようとしているんだろうか。それだったら申し訳ない。
恋人がいるって言った方がいいんだろうか。でも自意識過剰すぎないか。
悶々としていたらリサから質問が飛んだ。
「蜜くんは恋人いるの?」
「……います」
「え~やっぱりそうかあ~」
残念! っと言いながらもリサは楽しそうだ。
「いないはずないよねえ~」
うふふっと笑う。
マイペースなリサにつられて蜜も笑ってしまった。なんだろうこの緩い雰囲気。気負わなくていいし楽ちんだ。
「あれ。そこ仲良くなったの?」
太一が身を乗り出して運転席をのぞき込んだ。
「仲良くなれたら嬉しいな~って思ってるところ♡」
ね、とウィンクされて少しだけ怯む。
周防といるときのようなドキドキはないけど居心地はいい。姉がいたらこんな感じなのかなというような。
車は高速道路をひた走る。
周防もこの道を遠って会いに来てくれた。何度も。疲れていても忙しくたって会いたいからと笑って。
こんな長い道のりを一人車を走らせていた周防を想像したら愛おしさできゅうっとなる。
ずっと蜜を好きでいて欲しい。
高速を降り知らない街にたどり着くとナビが近くであることをアピールしだした。
「この辺だよねえ~?」
住宅街を抜けたところで急に広いグラウンドにぶつかった。出入りするたくさんの人と賑やかな声が聞こえてくる。
横の空き地には関係者なのかたくさんの車が止まっていて、親と思しき人たちが忙しそうに走り回っている。
隅っこにあいている場所を見つけて車を止めた。
「わあ~高校って懐かしいわ~。青春って感じする」
女子大生たちは口々に懐かしいと連発し、現役の蜜たちにはその感情がよくわからない。たまに出身小学校の前を通り過ぎるときの気持ちに似ているのだろうか。
広いグラウンドからは野太い掛け声や大声で何かを指示する声が響き渡っていた。離れた場所にいるのにすごい迫力だ。
邪魔にならないようにそっと近づくと広いアメフト用のフィールドが見えた。まだ試合は始まっていないようだった。
相手チームもアップを始めている。
「この中にレオくんいるのかよ」
「あの人大丈夫か。ビビって逃げていそうなのに」
蜜たちの学校にいるときの周防は体は大きいのにのんびりおっとりとしていて、格闘するイメージは全くなかった。どちらかと言えば「暴力反対」と言い出しそうな感じだ。
でも吉崎の事件の時に見た迫力も周防のもので、怖くて近寄りがたい面も持ち合わせている。
「あ、レオくんいた」
「え、どこ?!」
手前側のチーム席に周防の姿があった。
ジャージ姿で大声で何かを叫んでいる。大きなジェスチャーを繰り返し、味方へ指示を出しているようだった。
「なんか変わったな」
「うん。あんな人が廊下の先から来たらビビって譲るわ」
フィールド上にいる周防はいつもの穏やかさはなく、全身から戦う気配があふれていた。こんなに離れた場所にいるのにビリビリと闘気が伝わってくる。選手と一緒に戦っているようだった。
「どの人が先生なのお~?」
気づけばいつの間にかリサが隣に立っていて、蜜の服をツンと引っ張っている。ふわりと甘くいいにおいがするほど、近い。
「ああ、あの人かあ~へえ~かっこいいねえ」
もっと近くで見たいと保護者のいる場所へと突き進んでいく。慌てて追いかけるとみんなもついてきた。
邪魔にならないようにすみっこにいると「ねえ蜜くん!」とリサが声をあげた。
「ルールがよくわかんないんだけど教えてよ」
蜜という響きに反応したのか、周防がこっちを向いた。
いるはずのないメンバーがそろっていることに目を見開いている。蜜を見てぽかっと口を開けた。
「え、蜜?!」
慌ててこちらに走ってくる。フェンス越しに近づいた。
「運転大変じゃないですか?」
「え~全然。隣に蜜くんみたいかっこいい男子高校生がいるんだからはりきっちゃうよねえ~」
リサは嬉しそうに蜜を見た。
「こんなきれいな男の子とドライブなんてラッキー」
もしかしてシングルだと勘違いして、リサとくっつけようとしているんだろうか。それだったら申し訳ない。
恋人がいるって言った方がいいんだろうか。でも自意識過剰すぎないか。
悶々としていたらリサから質問が飛んだ。
「蜜くんは恋人いるの?」
「……います」
「え~やっぱりそうかあ~」
残念! っと言いながらもリサは楽しそうだ。
「いないはずないよねえ~」
うふふっと笑う。
マイペースなリサにつられて蜜も笑ってしまった。なんだろうこの緩い雰囲気。気負わなくていいし楽ちんだ。
「あれ。そこ仲良くなったの?」
太一が身を乗り出して運転席をのぞき込んだ。
「仲良くなれたら嬉しいな~って思ってるところ♡」
ね、とウィンクされて少しだけ怯む。
周防といるときのようなドキドキはないけど居心地はいい。姉がいたらこんな感じなのかなというような。
車は高速道路をひた走る。
周防もこの道を遠って会いに来てくれた。何度も。疲れていても忙しくたって会いたいからと笑って。
こんな長い道のりを一人車を走らせていた周防を想像したら愛おしさできゅうっとなる。
ずっと蜜を好きでいて欲しい。
高速を降り知らない街にたどり着くとナビが近くであることをアピールしだした。
「この辺だよねえ~?」
住宅街を抜けたところで急に広いグラウンドにぶつかった。出入りするたくさんの人と賑やかな声が聞こえてくる。
横の空き地には関係者なのかたくさんの車が止まっていて、親と思しき人たちが忙しそうに走り回っている。
隅っこにあいている場所を見つけて車を止めた。
「わあ~高校って懐かしいわ~。青春って感じする」
女子大生たちは口々に懐かしいと連発し、現役の蜜たちにはその感情がよくわからない。たまに出身小学校の前を通り過ぎるときの気持ちに似ているのだろうか。
広いグラウンドからは野太い掛け声や大声で何かを指示する声が響き渡っていた。離れた場所にいるのにすごい迫力だ。
邪魔にならないようにそっと近づくと広いアメフト用のフィールドが見えた。まだ試合は始まっていないようだった。
相手チームもアップを始めている。
「この中にレオくんいるのかよ」
「あの人大丈夫か。ビビって逃げていそうなのに」
蜜たちの学校にいるときの周防は体は大きいのにのんびりおっとりとしていて、格闘するイメージは全くなかった。どちらかと言えば「暴力反対」と言い出しそうな感じだ。
でも吉崎の事件の時に見た迫力も周防のもので、怖くて近寄りがたい面も持ち合わせている。
「あ、レオくんいた」
「え、どこ?!」
手前側のチーム席に周防の姿があった。
ジャージ姿で大声で何かを叫んでいる。大きなジェスチャーを繰り返し、味方へ指示を出しているようだった。
「なんか変わったな」
「うん。あんな人が廊下の先から来たらビビって譲るわ」
フィールド上にいる周防はいつもの穏やかさはなく、全身から戦う気配があふれていた。こんなに離れた場所にいるのにビリビリと闘気が伝わってくる。選手と一緒に戦っているようだった。
「どの人が先生なのお~?」
気づけばいつの間にかリサが隣に立っていて、蜜の服をツンと引っ張っている。ふわりと甘くいいにおいがするほど、近い。
「ああ、あの人かあ~へえ~かっこいいねえ」
もっと近くで見たいと保護者のいる場所へと突き進んでいく。慌てて追いかけるとみんなもついてきた。
邪魔にならないようにすみっこにいると「ねえ蜜くん!」とリサが声をあげた。
「ルールがよくわかんないんだけど教えてよ」
蜜という響きに反応したのか、周防がこっちを向いた。
いるはずのないメンバーがそろっていることに目を見開いている。蜜を見てぽかっと口を開けた。
「え、蜜?!」
慌ててこちらに走ってくる。フェンス越しに近づいた。
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