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第三章 sugar sugar honey
会いに行く。
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週末。
蜜は会いに行く覚悟を決めた。
JR駅で時刻表を見ていたら、ポンと肩を叩かれる。振り返ると太一と裕二だった。
「えっ?! なんでここに?」
「いや、蜜なら一人で行くだろうなって」
一人で考えているとよくない方にばかり考えてしまって、どうしたらいいのか相談したのは数日前の事だった。
絶対会いに行って直接話をした方がいいと力説する2人に背中を押されるようにこうして出向いたけれど、本音はやっぱり怖い。
一緒に行こうかと言われそれは甘えすぎだと断ったのに、こうして来てくれる奴らなのだ。
「泣くなよ」
「いや泣いてないから」
後ろを見ると太一と裕二の彼女らしき人がニコニコと笑って蜜を見ていた。それともうひとり。
「ちょうどあの辺のデートスポットに行ってみるかって話が出ていたからさ、ついでに蜜も乗せていってやるよ」
「はじめまして! いっつも蜜くんのことは聞いていたの。会えて嬉しいよ」
彼女どうしも学校が同じで仲良しなのだと言った。
「あとね、この子も蜜くんに会ってみたいっていうから一緒に連れてきちゃった。仲良くしてね」
そうやって紹介されたのは、ポワっとした雰囲気の女の人だった。年上と言う感じがしない柔らかい雰囲気の人だ。
「はじめましてえ~リサって言います。よろしくねえ」
「車おっきいから蜜くんなんか全然乗れちゃうから遠慮しないで。はい乗った乗った~」
あっという間にペースに乗せられてしまう。
運転手はリサさんで、蜜を助手席へと座らせた。
「せっかくのデートの邪魔じゃないですか?」
「ううん。平気だよ。こうやってみんなで遊びに行けるの楽しみだったから」
年上の女子大生と言っていたから大人な女性像を勝手にイメージしていたけど、会ってみれば普通の女の子たちだった。それでも中学の同級生とは全然違う華やかさを持っている。
「ねえ、たいちゃん。とりあえず学校に向かえばいいんだよね?」
「そう。前の担任がどんな仕事してるのか見に行ってやろうかと思ってさ」
「へ~前の学校の生徒が会いに来てくれるなんて先生冥利に尽きるんじゃない」
太一は彼女にも蜜と周防のことは言っていないらしかった。
ただ前の担任が顧問をしているチームの試合を見に行きたいと理由をつけたらしい。
「ゆーちゃんも同じ先生?」
「です。俺ら三人ともずっと同クラで」
「そんなに愛されてる先生に会ってみたいね。楽しみ」
彼女たちは素直にそのまま受けとってくれたらしい。
蜜は隠れて息を吐いた。
もし浮気現場を目撃したらどうしよう。
会いたいけどちょっとだけ怖い。
何しに来たのって言われたら___いや、周防はそんなことを言うはずがない。
一人押し問答をしていたら運転席から声がかかった。
「蜜くんさあ、緊張しなくていいからね。窓とか開けてのんびりドライブ楽しんでえ」
「えっ」
「ほら。緊張してるでしょ? せっかくの可愛い顔が台無しだよお~笑ってリラックス~」
そういえば、初めて周防の車に乗せてもらった時も、リラックスしててなって言われたんだった。あの時は変な人という印象ばかりで、こんなに好きになるなんて思っていなかった。
理由がわからないくらい当たり前の感情になっているけど、きっとひとつひとつ積み重ねてきた時間が好きを育てていたのだ。
誰といてもどこにいてもすぐに周防のへと気持ちが飛んでいく。
「大丈夫だよお」とリサが笑った。
「安全運転だからそんな怖がらないで」
知らず強ばっていたのだろう。
ポンと膝を叩かれた。
「はい。深呼吸~」
蜜は会いに行く覚悟を決めた。
JR駅で時刻表を見ていたら、ポンと肩を叩かれる。振り返ると太一と裕二だった。
「えっ?! なんでここに?」
「いや、蜜なら一人で行くだろうなって」
一人で考えているとよくない方にばかり考えてしまって、どうしたらいいのか相談したのは数日前の事だった。
絶対会いに行って直接話をした方がいいと力説する2人に背中を押されるようにこうして出向いたけれど、本音はやっぱり怖い。
一緒に行こうかと言われそれは甘えすぎだと断ったのに、こうして来てくれる奴らなのだ。
「泣くなよ」
「いや泣いてないから」
後ろを見ると太一と裕二の彼女らしき人がニコニコと笑って蜜を見ていた。それともうひとり。
「ちょうどあの辺のデートスポットに行ってみるかって話が出ていたからさ、ついでに蜜も乗せていってやるよ」
「はじめまして! いっつも蜜くんのことは聞いていたの。会えて嬉しいよ」
彼女どうしも学校が同じで仲良しなのだと言った。
「あとね、この子も蜜くんに会ってみたいっていうから一緒に連れてきちゃった。仲良くしてね」
そうやって紹介されたのは、ポワっとした雰囲気の女の人だった。年上と言う感じがしない柔らかい雰囲気の人だ。
「はじめましてえ~リサって言います。よろしくねえ」
「車おっきいから蜜くんなんか全然乗れちゃうから遠慮しないで。はい乗った乗った~」
あっという間にペースに乗せられてしまう。
運転手はリサさんで、蜜を助手席へと座らせた。
「せっかくのデートの邪魔じゃないですか?」
「ううん。平気だよ。こうやってみんなで遊びに行けるの楽しみだったから」
年上の女子大生と言っていたから大人な女性像を勝手にイメージしていたけど、会ってみれば普通の女の子たちだった。それでも中学の同級生とは全然違う華やかさを持っている。
「ねえ、たいちゃん。とりあえず学校に向かえばいいんだよね?」
「そう。前の担任がどんな仕事してるのか見に行ってやろうかと思ってさ」
「へ~前の学校の生徒が会いに来てくれるなんて先生冥利に尽きるんじゃない」
太一は彼女にも蜜と周防のことは言っていないらしかった。
ただ前の担任が顧問をしているチームの試合を見に行きたいと理由をつけたらしい。
「ゆーちゃんも同じ先生?」
「です。俺ら三人ともずっと同クラで」
「そんなに愛されてる先生に会ってみたいね。楽しみ」
彼女たちは素直にそのまま受けとってくれたらしい。
蜜は隠れて息を吐いた。
もし浮気現場を目撃したらどうしよう。
会いたいけどちょっとだけ怖い。
何しに来たのって言われたら___いや、周防はそんなことを言うはずがない。
一人押し問答をしていたら運転席から声がかかった。
「蜜くんさあ、緊張しなくていいからね。窓とか開けてのんびりドライブ楽しんでえ」
「えっ」
「ほら。緊張してるでしょ? せっかくの可愛い顔が台無しだよお~笑ってリラックス~」
そういえば、初めて周防の車に乗せてもらった時も、リラックスしててなって言われたんだった。あの時は変な人という印象ばかりで、こんなに好きになるなんて思っていなかった。
理由がわからないくらい当たり前の感情になっているけど、きっとひとつひとつ積み重ねてきた時間が好きを育てていたのだ。
誰といてもどこにいてもすぐに周防のへと気持ちが飛んでいく。
「大丈夫だよお」とリサが笑った。
「安全運転だからそんな怖がらないで」
知らず強ばっていたのだろう。
ポンと膝を叩かれた。
「はい。深呼吸~」
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