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第三章 sugar sugar honey
遠距離恋愛
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新学期が始まった。
ついに3年生になった蜜だけど、また太一と裕二と一緒だから心強い。
だけど恋人である周防の姿はこの学校にはない。
遠く離れた彼の母校へと赴任したのだ。今頃新しい学校で新しい生徒たちと顔を合わせている頃だろう。
蜜の名前を呼んで「美味しそう」と言ったあの新学期が懐かしい。あの頃には想像していなかった未来の上に蜜はいる。
周防LOVEの小石川もついていくのかと思っていたけど彼は残って、蜜のクラスの担任になった。
「最後の一年、楽しい思い出いっぱい作って卒業していってな。受験もがんばろ~」
おー! と一人で高らかに腕を上げている。
誰も参加しない事が気に食わないとやり直し、クラスみんなの「おー」というどよめきが教室を揺らした。
この先大丈夫かとちょっとだけ心配になる。
「いや~進路な、どうすればいいんだ」
「選択肢がありすぎてどうしていいかわかんないよな」
「それな~」
放課後の教室に残りながら3人でしゃべっていたら、周防からメッセージが届いた。むこうも放課後なのだ。
離れていても同じ環境だと思えば少しだけ嬉しい。
「あー~蜜のニヤニヤ顔が眩しい~」
「見てあの幸せそうな顔。神々しくて目がつぶれそう」
勝手に言わせておく。
サクサクと返事を返し「小石川先生が担任になった」と送れば慌てて電話がかかってきた。
「先生?」
「蜜、マジであいつに気をつけて。絶対油断すんなよ」
友達なのに酷い言い草である。
周防が学校を離れると報告した時に言われたそうだ。
「本当はレオについていきたいところだけど、きっとみっつのことが心配だと思う。だからおれが担任になって卒業まで見守るから安心しろ」と。
予言通り小石川は蜜の担任になり、この一年そばで見守られることになる。
「問題はその先。もし蜜が俺を好きになっちゃったらごめんなって、シャレにならん事をぬかしやがった。あいつ金も実力もあるから、裏工作もありだからな。油断できない」
多分真顔で言ってるだろうと想像がついた。
仲がいいくせにすぐに疑ってかかる。相手がよくわかっているってことはそれだけ親密ってことだ。
「ないない。こっちは大丈夫だから先生もがんばって」
「信じてるから。蜜に応援されるとパワーがでるな」
と、通話先に周防を呼ぶ声が聞こえた。早々から忙しそうだ。
じゃあ、と言って電話を切る時はやっぱりさみしい。直接会っていろいろおしゃべりがしたい。隣で体温を感じたい。
通話を終えて振り返ると太一と裕二が「いいですなあ」とニヤニヤしている。
「見んな」
「見せつけたのそっちだろーが。っていうか、つきあって結構たつのにその初々しさって何なの? もうすることしてんだろ?」
言われてグっと顎を引いた。低く答える。
「……してないし」
「は?!」
「そういうの、卒業までしないって最初に決めたからしてない」
「マジで言ってんの? レオくん頭大丈夫?!」
「そういう裕二はどうなのさ」
どうせ彼女もいないくせに。噛みつくと裕二はふひひと変な笑い声を立てて「ごめんなあ」と言った。
「もう、大人になっちゃった」
「は?!」
どういうことだ?
「いつの間に?」
「いや~春休み中に太一に頼んだ合コンでさ~彼女が出来まして。大人の女性にリードされ無事に。うふふ」
なんてことだ。
こっちがたった一度の大人のキスにドキドキしている間にそんなことになっていたなんて。
いや、やればいいってもんじゃない。
こっちは自分たちのペースで気持ちを伝えあって育んでいっている最中なのだ。焦らない。
でも、と思う。
蜜だってもっと周防に触れたいし、もっといろんなことをしてみたい。
両親や恩師に義理を立てているのは承知だしそんな周防を好きだと思った。でもそれと違う場所で、もっと、という欲が出てしまうのは仕方ないことだ。
周防はどうなんだろうか。
そういうことしたいって思っているんだろうか。
もし蜜が周防のことを思いながらベッドでしている事を知ったら嫌いになるのだろうか。
ついに3年生になった蜜だけど、また太一と裕二と一緒だから心強い。
だけど恋人である周防の姿はこの学校にはない。
遠く離れた彼の母校へと赴任したのだ。今頃新しい学校で新しい生徒たちと顔を合わせている頃だろう。
蜜の名前を呼んで「美味しそう」と言ったあの新学期が懐かしい。あの頃には想像していなかった未来の上に蜜はいる。
周防LOVEの小石川もついていくのかと思っていたけど彼は残って、蜜のクラスの担任になった。
「最後の一年、楽しい思い出いっぱい作って卒業していってな。受験もがんばろ~」
おー! と一人で高らかに腕を上げている。
誰も参加しない事が気に食わないとやり直し、クラスみんなの「おー」というどよめきが教室を揺らした。
この先大丈夫かとちょっとだけ心配になる。
「いや~進路な、どうすればいいんだ」
「選択肢がありすぎてどうしていいかわかんないよな」
「それな~」
放課後の教室に残りながら3人でしゃべっていたら、周防からメッセージが届いた。むこうも放課後なのだ。
離れていても同じ環境だと思えば少しだけ嬉しい。
「あー~蜜のニヤニヤ顔が眩しい~」
「見てあの幸せそうな顔。神々しくて目がつぶれそう」
勝手に言わせておく。
サクサクと返事を返し「小石川先生が担任になった」と送れば慌てて電話がかかってきた。
「先生?」
「蜜、マジであいつに気をつけて。絶対油断すんなよ」
友達なのに酷い言い草である。
周防が学校を離れると報告した時に言われたそうだ。
「本当はレオについていきたいところだけど、きっとみっつのことが心配だと思う。だからおれが担任になって卒業まで見守るから安心しろ」と。
予言通り小石川は蜜の担任になり、この一年そばで見守られることになる。
「問題はその先。もし蜜が俺を好きになっちゃったらごめんなって、シャレにならん事をぬかしやがった。あいつ金も実力もあるから、裏工作もありだからな。油断できない」
多分真顔で言ってるだろうと想像がついた。
仲がいいくせにすぐに疑ってかかる。相手がよくわかっているってことはそれだけ親密ってことだ。
「ないない。こっちは大丈夫だから先生もがんばって」
「信じてるから。蜜に応援されるとパワーがでるな」
と、通話先に周防を呼ぶ声が聞こえた。早々から忙しそうだ。
じゃあ、と言って電話を切る時はやっぱりさみしい。直接会っていろいろおしゃべりがしたい。隣で体温を感じたい。
通話を終えて振り返ると太一と裕二が「いいですなあ」とニヤニヤしている。
「見んな」
「見せつけたのそっちだろーが。っていうか、つきあって結構たつのにその初々しさって何なの? もうすることしてんだろ?」
言われてグっと顎を引いた。低く答える。
「……してないし」
「は?!」
「そういうの、卒業までしないって最初に決めたからしてない」
「マジで言ってんの? レオくん頭大丈夫?!」
「そういう裕二はどうなのさ」
どうせ彼女もいないくせに。噛みつくと裕二はふひひと変な笑い声を立てて「ごめんなあ」と言った。
「もう、大人になっちゃった」
「は?!」
どういうことだ?
「いつの間に?」
「いや~春休み中に太一に頼んだ合コンでさ~彼女が出来まして。大人の女性にリードされ無事に。うふふ」
なんてことだ。
こっちがたった一度の大人のキスにドキドキしている間にそんなことになっていたなんて。
いや、やればいいってもんじゃない。
こっちは自分たちのペースで気持ちを伝えあって育んでいっている最中なのだ。焦らない。
でも、と思う。
蜜だってもっと周防に触れたいし、もっといろんなことをしてみたい。
両親や恩師に義理を立てているのは承知だしそんな周防を好きだと思った。でもそれと違う場所で、もっと、という欲が出てしまうのは仕方ないことだ。
周防はどうなんだろうか。
そういうことしたいって思っているんだろうか。
もし蜜が周防のことを思いながらベッドでしている事を知ったら嫌いになるのだろうか。
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